トラブルが発生し連絡があったときに、現場に行き確認し、措置・対応する場合に心掛けなければならない重要なポイント、手順は以下のとおりです。
- (流通ルートにある代理店などから)連絡を受けたときに、まずお詫びし、トラブルの発生現象・状況を質問しながら確認し、ある程度の判断をします。なお、その場で発生原因と対策・処置などが説明でき、双方とも了解できれば、それがベストです。
- しかし、この場合もできれば早めに、陳謝およびその後のフォローと、今後の使用依頼のためにトラブル先を訪問します。
- 連絡を受けたときに、さらに状況確認と対応のために、先方を訪問することが決まれば、出かける前に、予想されることも含めて、調べて社内の関係者にも連絡、代替えなどの確認・手配をします。常に『ほうれんそう』(報告、連絡、相談)をすることを忘れずに。そして速やかに訪問します。
- なお、トラブルに関係し、必要なカメラ、紙間湿度計、静電気測定器などの測定機器類を持参します。しかも、事前の連絡と実際のトラブル内容が違うことがありますので、持参する器具類は予測されるものを含めて持っていくこと。
- これらの機器類は大きな戦力になります。トラブル当該紙や印刷室などでの調査に活用し、早い問題解決の糸口に結びつくことがあります。
- 訪問したら、まず陳謝します。
- 次にクレーム発生状況を把握します。このときは現品を必ず確認(現認主義)し、クレーム内容をよく聞くとともに、チェックリストなどに基づいて(ポイントは)漏れなく、正確に、事実を掌握し、不明な点は質問をして明らかにすること。また、調査・原因究明用として当該サンプル(インキなども含む)および良品サンプルなどを入手すること。
- なお、まれにトラブル当該紙の製紙メーカー名が誤っていることがありますので、銘柄やラベルなどで必ずメーカー名を確認すること。また、併せてロット番号・坪量・寸法・クレーム数量・残品量なども確認します。
- ところで先方はトラブル発生でカリカリしている恐れもあり、刺激的な言動は慎み、要領よく迅速に状況を把握すること。
- その場で打てる手があれば、相談し、実施してもらいその効果を確認します。
- 効果がなければ、代替え品などの手当てなどを行い、フォローを依頼します。
- 社内に帰り、状況・処置などを正確に伝えます。
- 社内の苦情(クレーム)処理規程に準じて、手続きを行い対応・処理します。
- なお、クレーム件名は具体的にし、件名を聞いたり、見たときに発生原因が分かるような原因究明型にします。例えば、印刷で白抜けのトラブルがありますが、これを単に「白抜け」としないで、もうちょっと踏み込んで発生もとの「紙粉」とか「ベッセルピック」とかにします。もちろん断定できにくい場合には、推定でも可。このときは「紙粉?」、「ベッセルピック?」のように、疑問符をつけるなりの工夫をします。このように原因究明型にすることによって、担当者のみならず関係者の対応力・技術力が向上し、問題解決が早まることが期待できます。
- 持ち帰ったクレームは、工場・関係部門に迅速に連絡し、調査・対応を行うこと。なお、必要な調査・回答の納期(期限)を決めること。
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[注]⑨と次の⑩とは順番が逆になることがあります。調査・回答など対応を急ぐ場合には、先にあるいは並行的に当該工場にクレーム状況、調査依頼の連絡やクレームサンプルなどを送付します。
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- (必要ならば)工場・関係部門からの調査、分析結果に基づき、原因と対策を取りまとめ、お詫びとともに文書などにより回答します。また状況により、工場・関係部門にも同行してもらうこと。
- なお、客先への回答が長引く場合には、必ず先方に中間報告をします。
- この文書などによる回答も迅速な対応が基本となります。例えば、紙が原因かそうでないか、その判断に説得できる調査・分析資料などを付けて、速やかに回答すれば先方の感情も和らぎ、「災い」もプラスに転ずることが多くなります。しかし、逆に遅いと相手との関係がおかしくなり、気まずくなり、悪くすると次の訪問ができなくなる恐れが生じます。
- さらに、いくら立派な回答であっても、せっかく時間を掛け調査しても、遅ければその価値を失い、無駄になることが多い。より一層のマイナスイメージを与え、逆に感情を害されかねません。思いもかけなく損になるばかりか、費やした労力・時間が無駄に終わります。 これでは何をしていたのか分かりません。クレーム処理にも納期があることを肝に命じるべきです。納期は厳守。納期を過ぎた仕事は、場合によっては価値がなくなるばかりか、マイナスとなります。
- いずれ先方に回答をしなければなりませんので、同じ労苦を掛けるなら、はじめから納期に間に合うように対応すべきです。そして最低限、納期に間に合わせることです。もし期限に間に合わないと思ったら、中間報告を必ず行うことです。
- 対策後の効果の確認をします。
- さらに、効果ある品質改善、再発防止策を社内で標準化するとともに、周知徹底し歯止めをします。
- そして客先へ結果のフォロアップするとともに、アフターサービスも忘れずにします。
(2006年7月1日見直し・再録)