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軽印刷とは
一般印刷と比較して、比較的簡単な設備で小部数のものを迅速に製版印刷する方式です。版材の耐刷力から考えて1000部以下が対象で、多色印刷は軽印刷に含まないのが一般的です。軽印刷では最もスピードが優先され、発注から納期までの期間が短く、一般印刷に比して品質は第二義的です。版式は平版で、主として紙に特殊な処理をしたマスターペーパーが使用され、原稿からカメラでダイレクトに撮影し直接刷版を作ることができます。印刷機は小型オフセット機を使用します。
なお、軽オフ印刷とは軽オフセット印刷機を使用しての印刷のことで、版材に紙を使う「軽オフ」と呼ばれる簡易型のオフセット印刷もあり、軽印刷(Rough printing)の分野で用いられています。一般には商業印刷のような出来映えを必要としないラフ印刷を指す用語です。
両面刷印刷機(perfecting press; perfector)
枚葉オフセット印刷機では、両面印刷機が脚光を浴びています。1回の印刷通しで表と裏両面を印刷する印刷機です。巻取り紙印刷機の表裏印刷は普通ですので、一般に枚葉紙印刷機を指します。なお、枚葉両面印刷機は圧胴の有無、反転方式により次のように分類されてます。
- 反転方式…印刷中に紙面を反転する方式(印刷ユニットは表面用が並び、反転後、裏面用の印刷ユニットで印刷)。片面・両面印刷兼用機で、メーカーは三菱重工業、ハイデルベルグなど。
- 非反転方式…印刷ユニットを上下に備え、紙の表裏を交互に印刷する方式(ユニット型両面印刷機構)。両面印刷専用機で、メーカーはアキヤマインターナショナル株式会社(アキヤマ印刷機製造)、小森コーポレーションなど。
ギャップレス、ナローギャップ
輪転機(商業・新聞)の版胴およびブランケット胴には、版やブランケットを装着するための溝「ギャップ」があります。このギャップは印刷時の主な振勧発生源であり、印刷スピードのアップや紙面品質などの障害になっています。そこで筒状ブランケットを使用した「ギャップレス輪転機」や、ギャップを半分程度に縮めた「ナローギャップ」が登場し、主流になっています。
ギャップレス機のブランケットの交換作業は、機械の側面から筒状のブランケットを差し込む方法で行います。交換時、シリンダー表面の微細な穴からエアを吹き出し、ブランケット支持鉄板との間に空気層を作ることで容易に行えます。交換時間は、ブランケットの増し締め作業が不要のため、すでに実用化されている商業オフ輪(紙幅1,030 mm) では1胴当たり1分以内と報告されています。ギャップレス輪転機は商業用オフ輪で実用されており、新聞印刷への応用はサイズ的に難しく、新聞輪転機ではナローギャップが主流です。
⑴ナローギャップ輪転機
ナローギャップは、ギャップ通過時のショックの軽減による振動、騒音の減少のほか、有効印刷長の伸長、機械の軽量化の可能性など多くの利点を持つ技術として期待されています。 ブランケット胴のナローギャップは、約16mmのギャップが9mm程度になります。ブランケットの締め付け方法は、アルミフィレットバーの代わりに薄い金属板を張り付けたブランケットを使用し、一方はギャップのエッジに引っ掛け、もう一方は従来どおりのテンションバーで巻き込む機構になっています。
⑵ナローギャッブの特徴
ギャップのぶつかり合いによる振動、騒音、ショックを軽減するナローギャップ化には、次のようなメリットが考えられます。
- 回転時の振動・衝撃を少なくし、走行紙のテンションが安定する。
- 高速化、高印刷品質が可能…振動を押さえた高速運転を実現。
- 胴周長を短くでき、用紙ロスの減少、ブランケット交換が容易…印刷できない部分を少なくすることでカットオフを短くすることができるため、巻取紙を節約することができる。
- 版胴は工具レスのワンタッチ版締めができる…その機構は、版胴の幅方向に並ぶ球形の加圧ボール(バネが押さえる)によって、版のくわえ側とくわえ尻側を固定するようになっている。この方式により、19mmの版胴のギャップが7mmになる、などです。
(2009年9月1日)
参考・引用資料
- 紙 -紙と印刷、品質クレームへの対応-増補改訂 下巻…中嶋隆吉著(王子製紙株式会社 1997年発行)
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