コラム(28) 浅草寺本堂の大提灯に「因州和紙」を使用!大提灯4つすべてに因州和紙

今回は正月らしく提灯(ちょうちん)のお話です。それも浅草のシンボルである大提灯のことです。昨年1月1日付けの一口メモ「因州和紙、浅草名物雷門の提灯に使用」で「雷門(風雷神門)」の大提灯(右写真参照…高橋堤燈作製)について紹介しましたが、今回は浅草寺(せんそうじ)本堂の大提灯についてです。この大提灯にも、品質の高さを認められた鳥取県の伝統工芸品である因州(いんしゅう)和紙が使われております。

 


 

東京浅草にある浅草寺本堂(観音堂)の大提灯が10年ぶりに新調されました。相次ぐ台風で破れるなど傷んだため、京都市山科区にある1730(享保15)年創業の老舗メーカー「高橋堤燈株式会社」が請け負い、製作して、東京・新橋の芸者衆やお茶屋の組合、「東京新橋組合」が寄贈したものです。

一年の 最後を飾る「納めの観音」で、境内では「羽子板市」や松飾り、しめ縄、うらじろなどの正月飾りが風に吹かれてガサガサ鳴るところから「ガサ市」といわれるお飾りなどを卸売りする市もあり、年の瀬で賑わう先月(12月)の18日に浅草寺の法要で奉納され、お披露目されました(左写真参照)。

 

なお、下の写真は鈴木新太郎さんのホームページ金龍山浅草寺 大提灯のある風景から引用させていただきましたが、新調前の提灯です。この新調前の提灯の正面に黒く書かれている「志ん橋」の文字は、丸みがかっていましたが(左写真参照)、今回初めて字の形を江戸時代の錦絵を参考に変えたということです(右写真参照)。

大提灯は竹の骨組みに和紙を張り、寄贈組合の「志ん橋」の名を黒々と大書し、さらに色あせしにくい朱色の絵の具を、刷毛で文字のすき間に赤く塗られています。大きさは直径3.5m、高さ4.5m、重さ約600kgで、一昨年に新調した雷門の提灯(直径3.4m、高さ4m)より一回り大きいもので、竹は京都府丹波産が使われています。

張られている和紙は、鳥取県の伝統工芸品「因州和紙」が使用されており、青谷(あおや)町山根の伝統工芸士、西村信吾さん(西村製紙工場)が漉かれました。

和紙は、国産の楮100%の未晒し楮紙で縦60cm、横90cmのもの約300枚が使用されており、厚さが通常の障子紙の2倍以上、書道用紙の約3倍もある特製だそうです。材質の良さに加えて流し漉き法による手漉き和紙で、厚くて十分な強度があり、丈夫で長持ちする上に、むらなく均一な品質に、一枚一枚丁寧に仕上げる高度で熟練された匠の技が高く評価されたものです。

 

これで浅草寺の玄関口にある名物の雷門のみならず、本堂、宝蔵門および仁門の大提灯4つのすべてに「因州和紙」が使用されたことになります(日本海新聞ホームページおよび鳥取県広報課メールマガジンとっとり雑学本舗 第430号(2004.12.21)などから引用)。

 

「雷門」「宝蔵門」「仁門」の赤い大提灯とともに、この浅草寺本堂の「真新しい提灯」が新年をお参りする老若男女をお迎えすることでしょう。そして「浅草のシンボル」として訪れる人やテレビ、新聞紙上などで見る人達を和ませてくれることでしょう。

 


 

ちなみに、因州和紙は書道用紙の生産で日本一、手漉き和紙の生産額では全国2位で、およそ1250年の歴史があり、その伝統の中で新製品の開発など進化している鳥取県の和紙です。私の郷土ですが、誇れるもののひとつです。本ホームページ「和紙」の中にある「因州和紙」がらみのサイトを下記に挙げておきます。(リンク先準備中)

  • 夢の和紙めぐり因州和紙(鳥取県)…(その1)はじめに
  • 夢の和紙めぐり因州和紙(鳥取県)…(その2)青谷町
  • 夢の和紙めぐり因州和紙(鳥取県)…(その3)佐治村
  • 夢の和紙めぐり因州和紙(鳥取県)…(その4)因州和紙、永遠に!

 

なお、昨年11月1日付けで因州和紙の生産(青谷町と佐治村)は、鳥取市と編入合併し、気高郡青谷町から鳥取市青谷町に、八頭郡佐治村は鳥取市佐治町になりました。

(2005年1月1日)

 


 

去年、2004年1月1日掲載の「因州和紙、浅草名物雷門の提灯に使用」を併せて掲げておきます。

因州和紙、浅草名物「雷門」の大提灯に使用

(2004年1月1日まとめ、2005年1月1日一部追加)

 

東京浅草のシンボルで、名物である浅草寺の「雷門」の提灯に、鳥取県の青谷(あおや)町産の因州(いんしゅう)和紙が使われています。

この提灯は昨年(2003年)8月3日に、江戸開府400年を記念して11年振りに新調されました。雷門は浅草寺の正面入り口にある総門で、そこにある「雷門」と黒く大きな文字がひときわ目立つ、赤い直径3.4m、高さ4m、重さ670kgの巨大な提灯です。紙の厚さは新聞紙の5倍ほどあり、丈夫にできていると言われます。

雷門の提灯を制作した京都市にある提灯の老舗でトップメーカーの「高橋堤燈」は、全国の和紙産から和紙を探していたときに、因州和紙の評判を聞き、青谷町を直接訪ねて、その質の良さに和紙職人の姿勢も気に入って、使用を決めたとか。

また、和紙生産者の西村製紙工場社長、西村信吾さん(青谷町)は「細心の注意を払って紙を作っている。提灯のトップメーカーに因州和紙が評価されてうれしい」と喜んでいると報じられています(日本海新聞および、鳥取県広報課メールマガジンとっとり雑学本舗 第330号(2003.12.9))。

 

初詣とか、テレビ・新聞などでお目にかかる人もおられると思いますが、このような知識を持って見られると、また別の趣があるでしょう。

 

参考・引用資料

 


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)