コラム(56-2) 竹の活用(その2)竹紙と竹入り紙について 2

竹入り紙について

竹紙が製紙原料として竹繊維(パルプ)を100%か、メインにしているのに対して、竹入り紙は竹繊維をいくらか配合している紙をいいます。竹繊維の使用割合はメーカによって異なりますが、一般に竹入り紙(竹繊維配合紙)は、木材パルプから作られた紙に比べて、嵩高で風合が良く、和紙のような温もりとやさしさと高感も感じさせる特徴を持ち、そして非木材紙で、抗菌性を保持し、竹類は成長が速く(3.5~4年で生育)、毎年収穫することができるので、木材パルプより環境に優しいことなどを謳い文句(キャッチフレーズ)にしているうです。それでは具体的に竹入り紙を紹介しておきます。

 

(1)竹入り和紙

薄手の土佐和紙に竹の繊維を漉き込んだ紙。自然のままの色と竹繊維の素材感が、落ち着いた空間作りに最適で、照明や障子に貼る紙としても、また基本のラッピング包材としても使えます。希少な竹の和紙を、あなたのアイデアで暮らしの中に取り入れてください、とPRされています。土佐和紙の専門店LadyRisa(株式会社モリサのオンラインショップ)が製造販売[(参照)土佐和紙の企画開発、受注生産、各種加工|株式会社モリサ[MORISA] 、生成色 竹入り和紙ロール-通販]。

 

(2)竹入り紙「竹入紙」(洋紙)

銘柄「竹入紙」は鹿児島県にある中越パルプ工業株式会社(洋紙メーカー、本社東京)の川内工場で生産されています。鹿児島県は日本一の竹の生産であり、その面積は16,000haにも及び、中でも代表格の孟宗(もうそう)竹は7,600haで福岡県と1、2を争う竹の子の名産です。タケノコの生産では、良質なタケノコを生産するために5年以上生育した古い竹を伐採しながら竹林を維持しています。しかし、伐採した竹は用途がなく、ほとんどが竹林内に放置されていました。

中越パルプ川内工場ではこの未利用資源に着目し、伐採後に放置された竹を利用し、原料調達からパルプ化、紙に至るまでの一貫生産体制を国内で初めて確立したというものです。

 

竹のチップ化とパルプの特性

竹のチップ化については、木材と違って中身が空洞であるためにチップ生産効率が非常に悪いことが最大の問題点です。これに加え、表面が堅いためチッパーの刃の劣化が激しく、時間とともに、特に表皮の青い部分がスリーバー(細長い剥ぎ片屑)しやすく、その発生量が多くなることが問題でしたが、スリーバー対策としては刃替えの頻度を増やすなどしているということです。

パルプ化については、蒸解性、漂白性も問題はなく、パルプ収率はやや低い傾向にあるが、竹パルプの繊維長や引裂き強度などの基本性能は針葉樹と広葉樹の中間にあります。また、緊度が低くて嵩が出やすいこと、吸油度に優れているなどの特性があります。次表にそれらの品質比較を示します。

竹パルプの品質
  針葉樹 広葉樹
繊維長(mm) 1.76 2.96 0.85
比引裂強度(mN) 1,150 1,280 900
緊度(g/cm3) 0.59 0.67 0.60
吸油度(秒) 1.5 - 4.0

 

竹パルプは品質的にも木材パルプと差はなく、木材パルプ、古紙パルプとの組み合わせでも全く問題はなく、さまざまなユーザーのニーズに応えて竹入り紙を生産することが可能。ただ、竹チップの集荷量などの制約から、現状では10~20%、場合によっては30%までが実操に適応した配合とのことです。

 

それではホームページから「竹入紙」の特徴とアピールポイントを整理しておきます。

①「抗カビ性能」があること…竹搾液の成分と言われているジアゾキノン誘導体がパルプ中に残存していたと思われます。

②環境配慮型製品であること…廃棄物(放置竹)の有効利用であること、および国産で元にある竹材を使用しているため、輸入竹パルプを使用している国内の他社竹入紙と比較し、輸入に要する輸送エネルギーの面から見ても環境負荷低減(CO2削減)に役立っていること。

③非木材パルプ使用の製品であること…竹パルプを10%以上配合すれば、「非木材紙普及協会」の非木材紙マークを使用することができ、他商品との差別化を図る事ができます。

 

これらのことから環境意識の高いユーザー・消費者に対して大いにアピールすることができるとしています。なお、詳細は中越パルプホームページ「環境配慮型製品「竹入紙」について」をご参照ください。

(2006年9月1日)

 

参考・引用文献

 


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)