コラム(74-5) 紙・板紙「書く・包む・拭く」(9)もうひとつの板紙包装紙「ワンプ」と、その語源

補遺

もうひとつの板紙包装紙「ワンプ」と、その語源

紙器用板紙には分類されていませんが、もうひとつ紙・板紙の包装に用いられる板紙包装紙があります。「ワンプ」です。建材原紙(防水原紙、石こうボード原紙)、紙管原紙などと同じ「その他板紙(雑板紙)」に分類されています。ワンプは製紙業界や印刷業界で、お馴染みですが、外傷や湿気、日焼けなどから紙を守るために使われ、多くは紙表面に防湿処理がしてある包装紙の総称で、製紙工場などで平判や巻取の紙製品の包装に用いられます。

なおワンプは、板紙の品種分類表(日本製紙連合会編)の中で「古紙を原料として抄合され、紙・板紙の包装用に用いられるもので、製品形態は平判および巻取である」と説明されています。次に最近のわが国におけるワンプの生産量推移を表8に示します。板紙の中の比率も量的に0.2%と小さく、生産量は減少傾向にあります。

表8.ワンプの生産量推移(単位:千t)

[( )値は板紙あたりの構成比]

 1995年2000年05年06年
ワンプ

41

(0.3%)

32

(0.3%)

27

(0.2%)

27

(0.2%)

 

なお、洋紙の品種分類の一つに、包装用紙(英語でwrapping paper)があります。この中にもその他未晒包装紙の一品種として「ワンプ」があります。いわゆる単層抄きの包装紙です。この生産量の手持ち資料はありませんが、ワンプを含むその他未晒包装紙の06年の生産量は40千tで、紙(洋紙)全体の中の比率も0.2%と小さく減少傾向にあります。いずれにしても紙・板紙の全体からみればワンプは僅少といえます。

ところで「ワンプ」の語源をご存知ですか。語源として明確ではありませんが、次のような説が有力です。「ワンプ」の英語名は「mill wrapper」(JIS P 0001)です。 「wrap」(ラップ)は包むの意で、「wrapper(ラッパー)は包むもの(包装紙など)のことですが、包むことを意味する「wrapping」(ラッピング)とか、一方通行という意を持つワンウェイ(oneway)との合成語である「oneway wrapper」(ワンウェイ ラッパー)がなまったものではないかという説があります。ちなみにワンウェイ・ラッパーは製紙メーカーの工場から出荷される一方向型の包装紙ということになります。

この「wrapper」や「oneway wrapper」「wrapping」などの発音からくる訛り説と、もうひとつは包装紙が海外から日本に渡ってきたとき、「wrap」を間違って、読み、記録してワンプと言う造語が日本に広まり定着したという説です(丸和印刷のホームページ丸和丸_印刷の基礎知識から引用)。このように謂れかはっきりしないところがありますが、「ワンプ」の語源は英語の「wrap」とか「wrapper」などに由来していると言えます。

(2008年2月1日)

以下、続きます。

 

参考・引用文献

  • 日本製紙連合会「紙・板紙統計年報」
  • JISハンドブック「紙・パルプ」紙・板紙及びパルプ用語(日本規格協会発行)
  • 世界大百科事典(第2版 CD-ROM版)…日立デジタル平凡社発行
  • 「広辞苑(第五版)…CD-ROM版」(発行所:株式会社岩波書店)
  • 紙パルプ技術協会:紙パルプの種類とその試験方法(昭和41年)1966
  • 日本製紙連合会「紙・パルプ産業の現状…2007年版」
  • 成田潔英編「最新紙業提要」(新版)…昭和33(1958)年12月、丸善株式会社発行
  • 紙パルプ事典(紙パルプ技術協会編/金原出版 1989年年改訂第5版、2000年第4刷)
  • 紙・パルプ連合会「紙・パルプハンドブック…1967年」(1967年10月20日発行)
  • ホームページ白板紙-Wikipedia高級白板紙-Wikipedia特殊白板紙-Wikipedia
  • ホームページ段ボール・紙器について
  • ホームページ丸和丸_印刷の基礎知識

 


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)