紙を折っていくと…
長くなりましたが、それでは紙を折ってみましょう。新聞紙でも、ティッシュペーパーでも、コピー用紙でも構いません。紙を1回折ると大きさは半分になりますが、厚さは2倍になります。2回折るとさらに2倍で合計4倍、3回折るとさらに2倍で合計8倍です。つまり、n回折ると、2のn乗倍の厚さになります。この作業を続けるとどうなるのでしょうか?
これを表2にして整理しますが、例えば折った新聞紙の厚さを0.1mmとして、折る回数とそのときの厚みを示します。
折る回数 | 折られて重なった枚数 | 1枚の紙の厚さが0.1mmのときの 積層厚み(km) | 摘要 | |
---|---|---|---|---|
0 | 20 | 1 | 0.0000001 | 厚さが0.1mm |
1 | 21 | 2 | 0.0000002 | 厚さが0.2mm、以下倍々 |
2 | 22 | 4 | 0.0000004 | |
3 | 23 | 8 | 0.0000008 | |
4 | 24 | 16 | 0.0000016 | |
5 | 25 | 32 | 0.0000032 | |
6 | 26 | 64 | 0.0000064 | |
7 | 27 | 128 | 0.0000128 | |
8 | 28 | 256 | 0.0000256 | |
9 | 29 | 512 | 0.0000512 | |
10 | 210 | 1,024 | 0.0001024 | |
11 | 211 | 2,048 | 0.0002048 | |
12 | 212 | 4,096 | 0.0004096 | |
13 | 213 | 8,192 | 0.0008192 | |
14 | 214 | 16,384 | 0.0016384 | |
15 | 215 | 32,768 | 0.0032768 | ほぼ3m |
16 | 216 | 65,536 | 0.0065536 | |
17 | 217 | 131,072 | 0.0131072 | |
18 | 218 | 262,144 | 0.0262144 | |
19 | 219 | 524,288 | 0.0524288 | |
20 | 220 | 1048,576 | 0.1048576 | |
21 | 221 | 2,097,152 | 0.2097152 | |
22 | 222 | 4,194,304 | 0.4194304 | |
23 | 223 | 8,288,608 | 0.8288608 | |
24 | 224 | 16,777,216 | 1.6777216 | |
25 | 225 | 33,554,432 | 3.3554432 | |
26 | 226 | 67,108,864 | 6.7108864 | |
27 | 227 | 134,217,728 | 13.4217728 | |
28 | 228 | 268,435,456 | 26.8435456 | |
29 | 229 | 536,870,912 | 53.6870912 | |
30 | 230 | 1,073,741,824 | 107.3741824 | 100km超え |
31 | 231 | 2,147,483,648 | 214.7483648 | |
32 | 232 | 4,294,967,296 | 429.4967296 | 東京から大阪までの距離550km |
33 | 233 | 8,589,934,592 | 858.9934592 | |
34 | 234 | 17,179,869,184 | 1,717.9869184 | |
35 | 235 | 34,359,738,368 | 3,435.9738368 | |
36 | 236 | 68,719,476,736 | 6,871.9476736 | |
37 | 237 | 137,438,953,472 | 13,743.8953472 | 地球の平均直径12,756km |
38 | 238 | 274,877,906,944 | 27,487.7906944 | |
39 | 239 | 549,755,813,888 | 54,975.5813888 | |
40 | 240 | 1,099,511,627,776 | 109,951.1627776 | |
41 | 241 | 2,199,023,255,552 | 219,902.3255552 | |
42 | 242 | 4,398,046,511,104 | 439,804.6511104 | 月までの平均距離385,000km |
和算で鼠算(ねずみざん)というのがありますが、それは「正月に雌雄2匹の鼠が12匹の子を生み、2月には親子いずれも12匹の子を生み、毎月かくして12月に至れば、鼠の数は、2×712の算式により、276億8257万4402匹の大数になる」という問題ですが、物が複利的に急速に増加する場合のたとえとして用いられます。
注
鼠算というのは次のような話です。「正月に鼠の夫婦が子供を12匹産んだ。2月になると、その12匹が2匹ずつ、つがいになり、各々12匹の子供を産んだ。元の親もまた子供を産んでいる。この結果鼠の総数は、(12÷2+1)×12+12+2=98匹になる。この調子でいくとネズミは1年後には何匹になるか?」
要するに2匹いれば翌月12匹の子供が生まれて14匹になるということで1ヶ月すれば7倍になることになる。初期値が2の等比級数だから、答えは 2×712=27,682,574,402匹ということになる。結果が膨大な数となるため、急激に数がふえることを「鼠算式にふえる」ということがあります。
ところで本題ですが、この鼠算で同じように最初は小さくても表2のようにn=42回とすると、2の42乗(242)は4,398,046,511,104という大きな数字になります。紙(例えば新聞紙)の厚さを0.1mmとしても、その2の42乗倍はおよそ44万kmとなるわけですから、42回折れば地球と月の距離およそ38.5万kmを超えてしまうという計算になります。
しかし問題があります。そもそも42回も紙を折ると面積がどうなるかを考えますと、元の面積の2の42乗分の1になってしまいます。これは1mx1mの紙を使ったとしても、1辺が 0.4μm(0.0004mm)になってしまい現実的でないということです。とてもそんなに細かく折ることは不可能であるということです。「余の辞書に不可能の文字はない」と言ったとされる彼のナポレオンでもできません。
もう少し身近に言いますと、15回折り曲げると重なった枚数は2の15乗(=32,768)になりますので、その厚さはなんと3mになります。これでも大変なことです。これも計算上のことで、実際に折ることはできません。よしやって見ようと思われる方は、どなたか折ってみてください。やわらかいティッシュペーパーではどうでしょうか。何回折れましたでしょうか。
(2009年8月1日)
参考・引用文献・ウェブ
- 世界大百科事典(第2版 CD-ROM版)…日立デジタル平凡社発行
- 「広辞苑(第五版)…CD-ROM版」(発行所:株式会社岩波書店)
- ホームページ紙の豆辞典3(JPレポート70より)
- ホームページ紙の歴史と製法
- ホームページ「紙への道」FAQ、紙について参照
- ホームページ絵画・美術工芸品・文化資料の保存修復 祐松堂
- ホームページ紙の豆知識:紙のQ&A:紙は水に濡らすとなぜ弱いのですか
- ホームページトリビアの泉で沐浴 トリビアNo.726~732 トリビアの種No.084
- ホームページ新聞を折っていくと--。 -OKWave
- ホームページ紙を25回折ったら、その厚みはどのくらい? - 日刊 安頓写真ブログ
- ホームページねずみ算 - Wikipedia
- ホームページ「鼠算」、2匹で1年、276億万匹だ 日日是生日