紙はなぜ環境にやさしいのでしょうか?
今回のテーマは「紙はなぜ環境にやさしいのでしょうか」です。これは特に紙にかかわっている人が気にしていることだと思います。
ところが「古紙100%再生紙」は「環境にやさしくない」と大手製紙メーカー自らが否定したのです。2007年4月24日のことです。しかも今や常識らしいのです。製紙メーカーもその10年ほど前には「環境にやさしい古紙100%再生紙」として商品を売り出していたのも事実です。しかも官公庁などは「古紙100%の再生紙を使用」を環境配慮の象徴のようにしていたわけです。
古紙配合率(%) そして古紙配合率偽装が発覚し、社会的に問題化しました。それを契機に製紙メーカー各社は「古紙100%の再生紙を廃止」を発表。理由は2つあるという。ひとつは、中国への古紙の輸出に伴い上質の古紙の入手が困難になっていること。もうひとつは、古紙100%の再生紙を製造すればパルプの漂白工程で化石燃料(石油・石炭)などのエネルギー消費量が増え、かえって二酸化炭素排出量が古紙を使わない場合の2倍以上に増えるため環境対応には逆効果だと判断した、ということです。だから「古紙100%」にこだわるのではなく、用途に応じて最適な古紙配合率を決める必要があるということのようです。
図に古紙配合によるCO2排出への影響(古紙配合率0%の際に排出するCO2を100とした場合)を掲げます(詳細は再生紙ラインナップを再編、古紙100%配合製品を廃止 |日本製紙グループをクリックしてご覧ください)。
そして古紙配合を一律何%と制限せずに、用途に応じて最適な配合率を決めて、古紙パルプを利用することが、これから紙に求められる環境対応であると判断した、と結んでいます。
本当にそうだと思います。再び古紙配合率表示の虚偽をしないためにも、地球環境にやさしくて、適正な古紙配合をしていってほしいものです。
(2010年1月1日)
参考・引用資料
- 広辞苑(第五版)...CD-ROM版(株式会社岩波書店発行)
- ホームページ再生紙ラインナップを再編、古紙100%配合製品を廃止 |日本製紙グループ
- ホームページ地球環境にやさしいものとは