コラム(105) 「紙はなぜ」(25) 紙には、なぜ水滴が付かないのでしょうか?また、紙は結露するのでしょうか?

紙には、なぜ水滴が付かないのでしょうか?また、紙は結露するのでしょうか?

今回のテーマは、「紙には、なぜ水滴がたまらないのでしょうか、また紙は結露するのでしょうか」についてです。

 

紙には、なぜ水滴が付かないのでしょうか?

まず最初に「紙には、なぜ水滴が付かないのでしょうか」についてです。例えば、雨に濡れた花や葉の上には、水滴(雨粒)が丸くなってくっついています。また、水道の蛇口から落ちる水滴や、静かにコップに水を入れていくとあふれそうになっても水面が盛り上がりこぼれない状態になります。これらの現象は水の表面張力によるものです。この力のために水滴が丸くなっているのです。

表面張力とは、表面を出来るだけ小さくしようと分子どうしが引き合う力のことです。液体は、表面が出来るだけ縮まろうとする性質があり、同じ体積で表面積が一番小さいのが球形なので、丸い水滴(水玉)になろうとします。これが表面張力です。例えれば、蓮(ハス)や芋(いも)の葉は、その微細構造と表面の化学的特性により、決して濡れることがありません。葉の表面についた水は表面張力によって水銀のように丸まって水滴となり、転がり落ちます。

一方、紙の表面は、多孔性の微細構造を持ち、吸水性の大きい性質を持っています。そのために表面に付いた水(水滴)は紙の内部に吸収され表面に水滴として残らないわけです(一部、水滴の力 分子が引き合い丸く- 徳島新聞社から引用)。

 

紙は結露するのでしょうか?

次に「紙は結露するのでしょうか」についてです。

まずはじめに、結露(けつろ)とは、冬期のときなど低温の壁や窓ガラスなどに空気中の水蒸気が凝結して水滴がつく現象ですが、結露は身近でもよく見られる現象です。例えば、冷えたビールを冷たいジョッギに注いだときに見られるように、飲み物をコップに注ぐとコップの外側に水滴が付いたり、冬場に窓ガラスが曇るのが結露です。

それでは紙は結露するのでしょうか。紙障子やカーテンは熱は伝えにくいのですが、水蒸気は通りやすく、条件によっては結露します。従って、紙も場合によって結露します。

空気が紙障子やカーテンなどを通過する際に、空気中の水分(湿気)が取り残されて条件によって結露が発生します。

紙障子やカーテンなどの結露対策は、特に梅雨時は部屋を閉めたり、除湿して部屋の湿気を減らすこと、通気をよくしてカーテンなどはこまめに開閉し、空気(湿気)の淀みをなくすことなどです。

 

なお、結露防止に効果のある壁紙というものはありますが、他の同じ材の壁紙に比べて結露の発生が遅いというだけで、結露そのものを防止するわけではありません。わずか1mmから2mmの厚さしか持たない壁紙では限界があります。壁紙一枚の許容量では、結露を防ぎきることはできないのです。それどころか紙や織物といった吸放湿する材は、結露の激しい場所では壁紙自体が水分を吸い込んでしまいます。その水分が家具などによって蒸発を妨げられると、いつまでも壁紙が湿った状態となってカビを発生させることになります。下材や断熱材、構造材に湿気を伝え、内部結露を引き起こす危険性さえあります。

それを防ぐ方法としては、下材と断熱材の間に防湿層を設けることや、家具やベッドを壁から離して設置することなどがあげられます。水をよく使うキッチンなどには、撥水性のある壁紙を使用することです。撥水性とは、水をはじく性質を持っているということですが、撥水性は、紙には本来無いのですが、フッ素樹脂を表面加工することで、撥水性を付与させることができます(住まいの図書館 住まいと結露を考える |東リ 住まいとインテリア|から引用)。

 

それではなぜ結露は発生するのでしょうか?

空気中に含まれる最大水蒸気量は、温度が高いほど多くなり、温度が低いほど少なくなります。そして、ある温度の空気中に含まれる最大水蒸気量に対して、その時点での実際の水蒸気量の割合を表したものを相対湿度(以下「湿度」)といいます。従って、水蒸気量が一定でも、温度が変化すれば、湿度も変化するのです。

下図をご覧下さい。

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例えば温度が20℃、相対湿度が60%の状態から、温度だけが15度に下がったとします。すると、相対湿度は82%に上昇することが分かります(グラフA点)。さらに温度が下がって、湿度が100%を超えると、空気中の水蒸気は水滴に姿を変えます。この時の温度を露点といい、この水滴が結露の正体です(結露とは?から引用)。

例えば、温度20℃、湿度60%の空気の露点は12℃(グラフB点)です。12℃以下になると結露が発生するわけです。

例をいいますと、メガネを掛けてラーメンなどを食べていると、ラーメンの暖かい空気が、レンズに触れ曇り始めます。これが結露です。もちろんラーメンから出る湯気(水蒸気量)が多いほど、露点が高くなり、結露しやすくなります。

 

今、30℃・50%と0℃・90%の2つの部屋があった場合、30℃の部屋には15.2g/m3の水蒸気があります。これに対し0℃の部屋には4.3g/m3の水蒸気しかなく、湿度(相対)は低くても温度の高い部屋にはより多くの水蒸気が存在します。仮に30℃・50%の部屋を0℃まで冷却したとします。0℃の飽和水蒸気量は4.8g/m3なので、差し引き10.4g/m3が水蒸気の形で存在することができず、水(水滴)にかわります。これが結露発生のメカニズムです。

 

  • 凝結…凝縮とか液化ともいいますが、飽和蒸気の温度を下げ、または温度を一定に保って圧縮するとき、その一部が液体になる現象。
  • 飽和蒸気…液相と共存して平衡状態にある蒸気。
  • 飽和蒸気圧…ある温度で同一物質の液体(または固体)と気体とが密閉器中に共存して平衡状態にあるとき、その気体の圧力をその温度における飽和蒸気圧という。あるいは器中に密閉された気体を同一温度で圧縮していく時に液化の始まる圧力。最大蒸気圧。
  • 飽和水蒸気圧…飽和状態にある水蒸気の圧力。液体の水、または氷と平衡状態にある水蒸気の圧力に等しい。温度によって変化する。セ氏零度で約6ミリバール(ヘクトパスカル)。
  • 飽和水蒸気量…温度の定められた空気塊が含みうる最大の水蒸気量。普通、空気塊の体積1立方メートル当りの水蒸気の重さをグラムで表す。つまりある温度で最大限含みうる水蒸気の量をいう。
  • 飽和水蒸気量に対して、ある温度で実際に存在する水蒸気(絶対湿度)の割合を「相対湿度」とよび、気予報で使われる湿度はこの相対湿度のことです。
  • 湿度(humidity)…大気中に含まれる水蒸気量を示す尺度。通常、大気中に実際に含まれている水蒸気の量と、その大気がその温度で含み得る最大限の水蒸気の量との比を、百分率で表す(相対湿度)。これに対し、1気圧で1立方メートルの空気中に含まれる水蒸気量をグラム数で表したものを絶対湿度という。
  • 露点…大気中に含まれている水蒸気が凝結を始める時の温度。(いずれも広辞苑から引用)。

(2010年2月1日)

 


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)