コラム(109) 「紙はなぜ」(29) 紙はなぜ臭わないでしょうか?

紙はなぜ臭わないでしょうか?

今回のテーマは「紙はなぜ臭わないでしょうか」ですが、みなさんは紙や本などの「におい」を嗅がれたことはありますか。一度嗅いでみてください。いろいろな「におい」があると思いますが、特に白紙の場合は、ほとんど「におわ」ないと思います。なぜでしょうか。 なお、「におい」には、良い匂いと悪い臭いがあります。例えば、香水のような良い匂い(香気・香り)と、汚水のような不快な悪い臭い(臭気)です。

 

においの原因は

それでは「におい」の原因物質として何が考えられるのでしょうか。そして紙(白紙)がどうして「におわ」ないのでしょうか。

紙・パルプ工場における「におい」の原因となる物質は、

 

【アセトアルデヒド】

CH3CHO、分子量44.05、沸点21℃、融点-123.5℃、比重0.784、刺激的な青臭いにおいをもつ、検知閾値は0.0015ppmとされている。

特定悪臭物質に指定されており、敷境界規制基準の範囲は0.05~0.5ppmである。主な発生源として化学工場、たばこ製造工場をもつ工場などがある。

 

【アンモニア】

NH3,分子量17.03、沸点-33.4℃、融点-77.7℃、刺激性のある気体で、検知閾値は0.15ppmとされている。特定悪臭物質に指定されており、敷境界規制基準の範囲は1~5ppmである。主な発生源としては畜産事業場、化製場、し尿処理場等がある。

 

(3)各種悪臭物質と主要発生源 〈表-3〉
悪臭物質分子式臭気の質主要発生源
アンモニア NH3

刺激臭

し尿臭

畜産農業、鶏糞乾燥場、複合肥料製造業、でん粉製造業、化製場、魚腸骨処理場、フェザー処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等

メチルメルカプタン CH3SH タマネギの腐敗臭 クラフトパルプ製造業、化製場、魚腸骨処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
硫化水素 H2S 腐卵臭 畜産農業、クラフトパルプ製造業、でん粉製造業、セロファン製造業、ビスコースレーヨン製造業、化製場、魚腸骨処理場、フェザー処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
硫化メチル (CH3)2S キャベツ腐敗臭 クラフトパルプ製造業、化製場、魚腸骨処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
二硫化メチル (CH3)2S2 ニンニクの腐敗臭 クラフトパルプ製造工場、化製場、魚腸骨処理場、ごみ処理場、し尿処理場、下水処理場等
トリメチルアミン (CH3)3N 腐魚臭

畜産農業、複合肥料製造業、化メチルメルカプタン腐った玉ねぎのようなにおいパルプ製造工場、化製場、し尿処理場など

 

然ゴムは、ゴムの木の幹に傷をつけ、染み出てくる樹液を加工して作った物です。最近、このゴムのアレルギーが増えています。ラテックスアレルギーの原因となる蛋白質は「植物が自らを保護するために持っている生体防御蛋白である」と考えられてきています。ゴムは傷をつけられた樹皮を保護するために植物が持っている防御のための物質です。

 

未晒しクラフトパルプを過酸化水素で処理して漂白するにあたり

針葉樹を原料とする製紙用化学パルプのECF漂白において、二酸化塩素添加量を押さえながら高い白色度を持つパルプを製造する。針葉樹を原料とする製紙用化学パルプの漂白方法において、蒸解処理-酸素脱リグニン処理後、二酸化塩素段、アルカリ抽出/酸素/過酸化物段および過酸化物段から構成される多段漂白処理の、最終二酸化塩素処理の終pHを4.0~4.5に維持することを特徴とする製紙用化学パルプの製造方法。

 

軽く、好きな香りをうつらせて打ち消すのです。芳香剤と打ち消すと臭いも気になくなりますよね。本自体が色々なにおいがします。

新刊は、本当に色々なにおいがあります。心いい程度のインク、紙の香りの本もあれば、「何故?」と思うほど臭い本もあります。

ですから本屋の臭いが染み付いているのではなく、逆に本屋が色々な本の臭いがブレンドされていると思った方がいいかもしれません。扱っている本の種類によりブレンド具合が違うのでお店により全体の臭いが違ってくるのかな?と思います。

本に染み付いていると言うより、それ自体から発散されているので、本の体臭のようなものだから、読んだりして自然と薄れるのを待つしかないかな…と思います。

あまり回答になっていなくてすみません。

最初からすごく臭い本があるんですよ ティートリーなど殺菌消臭力の強いアロマウォーターやエッセンシャルオイルを多少しみこませたタオルなどで、本をくるんでおくだろうと思います。市販の消臭剤と違って、とてもナチュラルで、ヘンに化学的な匂いになったりしないのがいいです。出版後間もないものでしたら、インクの臭いだと思います。

保管環境にもよりますが数年は臭うと思います。製紙工程や印刷工程で臭うほどの殺虫剤や防腐剤を使うことはないからです。

ついでながら、製紙工程での薬剤の使用量はパルプに対して、多くても1000ppmです。

パルプは水に分散されて1%程度になっていますから、パルプスラリーに対する添加量は10ppm以下になります。

これを紙が製品になって印刷された後に臭いでわかるとすれば超人的です。

製紙工程の最後でコーティングをする薬剤に防腐剤が入っていますが、

これも添加量は微々たる物ですから臭わないと思います。ずいぶんと古くなった辞書が臭うならば、それは主にカビと埃です。

埃の中にはカビやダニが住んでいますから、その臭いもするでしょう。

あとは酸化された物質が揮発して若干の臭いを発するのかもしれません。臭いのついた紙や芳香紙の混入は、段ボール、雑がみ、回収雑誌に多く見られます。石鹸、化粧品、線香、蚊取り線香、芳香紙、薬品、香料などの強い臭い(匂い)がしみついた紙は、古紙処理工程で完全に脱臭することができないため、製品となった紙に異臭が残り、不良品となります。とくに、飲料や食品を入れる段ボール箱・紙箱に臭いがついていると、商品に臭いが移ってしまい、風味を損ねるなどのトラブルになります。

 

続発していた加工食品での異物混入や異臭騒ぎのうち、カップ麺から異臭がして、パラジクロロベンゼンなどの防虫剤成分等が検出された件については、製品の製造工程に問題がないことが確認されたようだ。日清製粉のカップヌードルは、環境へ配慮して、容器がプラスチック製から紙製に切り替えられて間がないが、この容器の材質変更以後、異臭がするという訴えが多数寄せられていた。

紙製容器が防虫剤などの臭い成分を透過しやすい性質のため、一連のカップ麺関連の異臭騒ぎは、防虫剤からの「移り香」が原因だったもよう。明星食品が製造した生協のカップ麺も紙製容器で、生協及び明星食品も

同様の「移り香」が異臭騒ぎの原因だと判断している。日清食品は、カップヌードルの紙製容器について、臭い成分を透過しにくいものに改良するとしている。カップ麺は、常温で保存ができるため、納戸などで、防虫剤など臭いの強いものといっしょに保管してしまうこともある。

カップ麺に限らず紙製容器の食品を保存・保管するときには、気をつけてほしい。

(2010年03月01日)

 

参考・引用資料

 


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)