FAQ(5) 紙の厚さ・密度(緊度)

紙の厚さは、マイクロメーターのような2枚の平らで平行な板の間に一定圧下で紙、通常、一枚を挟み測定します(JIS P 8118)。

紙の表面は凹凸であるため、平行板の間隔、すなわち、厚さは紙の表と裏の凸部と凸部を測っていることになります。紙を数枚重ねて測った後に、その枚数で割って1枚当たりの厚さを出した場合は、重なった紙同士の凹凸が相殺されるため1枚だけで測ったときよりも 1~5%程度薄くなります。

したがって、本、特にケース入りの豪華本を作るときなどに、紙1枚の厚さにページ数を掛けて本の厚さを計算すると、実際に紙を重ねた厚さと異なることになりますので、事前に予定枚数の紙を重ねた束見本を作り、厚さを確認しておくことが必要です。

また、厚さに関係する紙の密度は、紙の品質特性を推定するために重要な指標です。紙の密度は、その単位g/cm3 にみられるように、紙の単位容積に対する質量をいいます。つまり見掛け比重のことで、厳密には物理的にいう密度とは異なります。

密度(g/cm3)=坪量(g/m2)/厚さ(mm)×1000 のように、紙の密度は、坪量(g/m2) を厚さ(mm)で割って求めます。

なお、紙の密度は緊度といわれるように、紙の締まり具合の程度を表し、数値が大きいほど、緻密で締まり程度が大きくなります。紙の平滑性、不透明度、光沢度、腰、強度、紙くせなどの品質特性に影響する重要な指標です。

 

繊維より比重の重い塗料(クレーなどの顔料主体)を多く表面塗工されており、かつスーパーカレンダーなどによる加圧処理されているアート紙(塗工紙) で、緊度は1.25~1.3くらいで、非塗工紙である上質紙で0.8くらいです。もちろん、同一品種でもメーカーによって差があり、同銘柄でも坪量によって違いがありますが、一般的には米坪の高い厚物ほど締まりにくいため緊度は低くなります。


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)