FAQ(18) つるつるの紙に印刷してある本、写真製版が多い本を見ると、目がちかちかするというのですが、これらは何が原因なのでしょうか?

ご質問

子供がつるつるの紙に印刷してある本、写真製版が多い本を見ると、目がちかちかするというのですが、これらは何が原因なのでしょうか?インクの問題と紙の問題があると思うのですが、どのようなことが原因か教えてください(子供さんのお母さん)。

 

回答

「インクの問題と紙の問題があると思うのですが」…その通りです。

先ず紙についてですが、紙には新聞紙のように艶(つや)のない紙とご質問のようにつるつるとした艶のある紙があります。

艶のない紙は、新聞紙や上質紙に代表されるように紙の表面にお化粧品に相当する塗料を塗っていませんので、非塗工紙といわれています。これに対して、塗料を紙表面に塗ってお化粧している紙を塗工紙といいます。

塗工紙の中にはアート紙コート紙、軽量コート紙、微塗工紙というように化粧する塗料の量により分類されています。そしてそれぞれに艶のでる化粧をしているものと、艶消しの化粧をしているものがあります。

ご質問のつるつるとした紙は、艶のある塗工紙のことで、お化粧品としてクレーや炭酸カルシウムなどの鉱物性顔料とデンプンやラテックスなどの接着剤などを混和した塗料を原紙の片面または両面に塗布して造ります。

そして一般的に、スーパーカレンダーなどの艶出し機に掛け、加圧し、つるつると艶(光沢)のある塗工紙に仕上げます。

すなわち、塗工紙には数量的にも多い光沢(艶)のある「グロス」系塗工紙と落ち着いて、しっとり感のある艶消し塗工紙がありすが、いずれも印刷用途で多く使われています。

このうちつるつるして光沢(艶)のある「グロス」系塗工紙に印刷した本(印刷物)が目がちかちかしやすいというわけです。

次にインキですが、印刷インキにも印刷仕上がり面の光沢をあげるグロスインキ(光沢インキ)と、光沢を抑える艶消し用印刷インキであるマットインキとがあります。この中でグロス系インキが一般的で印刷物に多く使用されています。

また、グロス系インキを使用した写真製版が多い本などの印刷物に用いられる紙は、グロス系塗工紙が多用されますので、印刷物全体が照明や太陽光の下でいっそう反射し、目がちかちかしやすいくなるわけです。

なお、目のちかちか感を防いだり、落ち着いた上品さ、高感のために、艶消し塗工紙(マット系塗工紙、ダル系塗工紙)が好まれ、特に小学生や子供さん向けの本には、このような艶消し塗工紙が多く用いられています。

(2002年4月17日)

 


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)