FAQ(30) バージン紙(いわゆるパルプ100%の紙)と再生紙とでは紙の伸縮の小さいのはどちらでしょうか?

ご質問

「バージン紙(いわゆるパルプ100%紙)と再生紙とでは紙の伸縮の小さいのはどちらですか?」について教えてください。私の考えでは「再生紙の方が繊維長が短く、しかも、すでに何度か伸縮している為 断然、バージン紙の方が伸縮率は高いものと思われる」と思いますが、如何でしょうか。宜しくお願い致します。

(H.Mさん)

 

回答

ご質問について回答いたします。ご存知のように、紙の伸縮は紙の持つ水分量と構成している繊維の伸縮程度(特に横方向)、および繊維が伸縮したときに、それを紙全体に伝達・波及しやすいか、しにくいかを示す繊維間の密着性(逆に言えば空隙性、紙の空隙率)などが大きく影響します。

バージン紙と比べて、再生紙の方が何回か多く、叩解を受けているため、より繊維長が短くなり、できた紙の緊度(密度)が高くなります。そのため伸縮したときの影響が伝達・波及しやすくなり、伸縮率は高くなります。これはバージン紙と再生紙と比べたときの一般的な傾向です。

繊維長が短い紙の伸縮率は高くなりますが、貴職の見解のように、再生紙はすでに何度か伸縮している為に、伸縮しにくのではないとも考えられますが、もともとが伸縮率が高い再生紙ですので、やはりバージン紙の方が伸縮率が小さいと思われます。

ただ貴職の、「再生紙の方が繊維長が短く、しかも、すでに何度か伸縮している為断然、バージン紙の方が伸縮率は高いものと思われる」との返事のような再生紙があるかも知れません。

例えば、まれな例ですが、極端に伸縮率の高いバージン紙と伸縮率の低い再生紙との比較ではそうなるかも知れません。

(2005年7月12日)

 


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)