FAQ(35) グラビア印刷と包装の関係について教えてください

ご質問

私は包装について勉強している者です。そこでグラビア印刷と包装の関係について質問があります。

包装印刷でどうしてグラビア印刷が重要なんですか? グラビアインキの特徴性である乾燥がはやいをいうこと以外にも何かありますでしょうか? ご存知でしたら教えていただけますか。そしてグラビアインキはトルエンのため環境に悪いといいますが、グラビア印刷が医薬や食品の包装印刷に適している理由も教えていただけませんか?。

(C.Bさん)

 

回答

まず、「包装印刷でどうしてグラビア印刷が重要なんですか? そしてグラビアインキはトルエンのため環境に悪いといいますが、グラビア印刷が医薬や食品の包装印刷に適している理由」についてお答えいたします。

包装関係に使われる材料は、紙やプラスチックフィルム、アルミ箔などの素材があります。親水性で、かつ親油性で、さらに多孔質構造を持つ紙は、どんな印刷方式でも印刷ができますが、プラスチックフィルム、アルミ箔などの表面には孔が開いていないため、インキや水がしみ込まない非吸収体であり、インキがその空隙に入り込んで、いわゆる機械的・物理的に固着することが期待できません。そのため一般的な印刷である湿し水を使用したり、酸化重合型のインキを使うオフセット印刷では印刷できません。そのためインキ浸透性がないプラスチックフィルムやアルミ箔などの媒体へ印刷するときは、蒸発乾燥型や紫外線硬化型のインキを使用する必要があります。

一般的には蒸発乾燥型では、印刷インキの溶剤を蒸発乾燥することによって接着をよくする方式を取ります。そしてインキ中の溶剤を自由に選択できるのはグラビア印刷やフレキソ印刷であり、低沸点溶剤の蒸発によって乾燥・定着させる方式です。このためフィルムなどの非吸収体の印刷には、これらの印刷方式が適用されるわけです。このなかでもフレキソ印刷よりも高速で、きれいに印刷できるグラビア印刷が好まれるのです。

特に医薬や食品関係の包装には、衛生上などの理由からプラスチックフィルム、アルミ箔などが多く用いられています。そのため適性のあるグラビア印刷が適しているのです。

なお、トルエンなどを使わない水性インキが登場してきています。水性インキとは、水溶性樹脂またはアミンやアルカリで水溶性とした樹脂を水やアルコールに溶解させたワニスを用いるインキで、印刷物の臭気が少ないので食品包装用インキとして、グラビア印刷、フレキソ印刷で使われることが多くあります。

 

次に「グラビアインキの乾燥がはやいをいうこと以外の特徴」について、大日本印刷株式会社編「図解印刷技術用語辞典」-第2版-から引用させていただきお答えいたします。

グラビアインキは、グラビア印刷に用いる溶剤蒸発乾燥型インキです。低粘度のため凹部に容易に入り、かつドクターブレードで掻き取りやすく、ニュートニアンフローに近い流動性をもつインキです。被印刷体ならびに用途の幅が広く、インキの種類も多くあります。

そのひとつである包装用グラビアインキは、グラビア印刷方式により、主として包装用途に用いる溶剤型インキを言います。一般に、紙包装用とプラスチックフィルムを用いたフレキシブル包装用に大別されます。前者は一般包装用と食品包装用などがあり、主として耐摩擦性が必要です。さらに、食品用途では無臭性で、内容物を汚染することのない耐性のある顔料を選択することが重要です。ビヒクルはポリアミド樹脂やニトロセルロースをエステル、アルコール、芳香族系の混合溶剤に溶かして用います。

後者は主として各種プラスチックの透明フィルムの裏面に印刷し、その上にポリエチレンのTダイラミネートまたはフィルムをドライラミネートして、多層フィルムとしてフレキシブル包装に用います。インキビヒクルはラミネート加工適性を有するウレタン系樹脂が用いられます。

いずれも加温による低沸点溶剤の蒸発によって乾燥・定着(固化)させる蒸発乾燥タイプのインキです。

(2004年11月23日)

 


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)