わが国では洋紙、板紙、和紙などの種類がありますが、今日、われわれが使っている紙のほとんどは洋紙(板紙含む)です。
分類的には、用途上および統計上の必要性から経済産業省と日本製紙連合会により「紙・板紙の品種分類」が決められております。まず「紙」と厚い紙である「板紙」とに大分類され、さらに用途によって新聞巻取紙、印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙、段ボール原紙、白板紙などに中分類されています。そして例えば、非塗工紙、上級印刷紙、印刷用紙Aと細かく分類されております。
なお、和紙の製品・商品としては障子紙、書道用紙、ちり紙などが品種項目にありますが、生産比率が少ないために「和紙」という区分はなく、分類的には、「紙」の中の雑種紙や衛生用紙などのー部に含まれてしまい、統計上はあまり表面には出てこないようです。
これらの紙は最終的には、坪量(米坪)・紙厚、寸法別に、かつ平判・巻取別にきめ細かく分けられています。
なお、「紙」といえば普通、洋紙と板紙を含めていうことが多いのですが、洋紙のみを指すことがあり、紛らわしいことがありますので、場合によっては、どちらであるか確認する必要があります。
ところで、流通段階では、同一グレードであっても、製紙メーカー、銘柄によって、色相や風合いなどの品質に差があります。このため、同一グレードであってもメーカーが異なれば、混用されることはまれで、同一銘柄が指定されるか、万一、メーカーが異なれば、仕分けして使用されるのが一般です。
また、紙の種類は多く、それぞれが用途に応じた適性を付与されて作られておりますので、適性に応じて使用されれば問題ありませんが、意外な使われ方をされることもあります。このような場合には、うまくいくこともありますが、失敗するほうが多いので、それぞれの品種の位置づけと適性をよく理解をしておく必要があります。
すなわち、「紙」(洋紙、板紙や和紙など含む)は、その用途・機能に応じそれぞれに適材適所があります。
さらに、わが国の紙需要は経済・文化の発展とともに着実に伸びてきておりますが、日本古来の和紙が、大量生産可能な洋紙に押され激減していったように、紙に対する市場ニーズの変化や印刷技術の変化・向上、情報媒体の変化などに対応して、増減という数量だけでなく、紙の種類・銘柄が消滅したり、品種構成に大きな変化が生ずることを知ることも重要です。
[注記]
用語解説...板紙について
紙とは、「洋紙、板紙、和紙」を総称していう場合と、「洋紙」のみをいう場合や「板紙」に対応する言葉として用いることがあります。
ここで板紙について説明します。板紙とは、紙と板紙の区分には明確な定義がありませんが、紙との違いは主に米坪が大きく、紙厚が大きいことです。
一般的には、米坪の大きいもの(190~ 900g/m2くらい)、すなわち、厚い紙を板紙(ボード、paper board)といい、ボール紙ともいいます。板紙は段ボール原紙、紙器用板紙、建材原紙、紙管原紙、ワンプおよびその他板紙に分類されております。
原料は木材化学パルプ(CP)、砕木パルプ(GP)、わらパルプ、古紙パルプなどで、これらを配合し板紙抄紙機で作られますが、厚手の紙のため一般的に3層以上、9層以下の多層抄き合わで製造されます。
なお、板紙には非常にたくさんの古紙が使われている。その利用比率は、紙の約3割に対し、おおむね3倍のおよそ9割となっており、大部分が古紙でできているといえます。
その特性は紙の硬さと、腰の強さです。板紙の用途は、大部分が箱・容器などの包装資材であり、その他に表紙、台紙、また厚みがあることから建築資材などのー部としても使われております。