紙と日本人の暮らしの多彩なかかわり
(出所)日本経済新聞「文化往来」(2007年12月31日付)
紙の役割は、昔と比べてずいぶん狭まってしまった。文字や絵を書いたり、包み、折って遊んだりすることぐらいしか思い浮かばないが、かつてはこれら以外に、「防ぐ」「着る」「憩う」など実に様々な用途があった。国立歴史民族博物館(千葉県佐倉市)が1月16月から開く「幻の博物館の『紙』」展は、紙が様々な場面に使われた時代を思い起こさせる。
大蔵大臣や日銀総裁を務めた渋沢敬三が実現を目指した「日本実業史博物館」の膨大な収集品の中から、紙に関係するものに絞ったユニークな企画展だ。
風よけ、湿気防止に使われた紙や、関東大地震のとき、二次災害を避けるためにつくられた紙製テントも展示する。紙を細かく切り、撚ってつくった紙糸を織って布にした紙布や紙製のかつら、紙でできた器など、日本人の暮らしが紙といかに密接にかかわっていたかがよく分かる。
このほか、手漉き製紙にかかわる道具類やこれまで紹介されたことのない紙漉き技法の解説書「造紙諸人用帳」「紙の沿革史」を紹介。また紙漉き産地、営業にかかわる資料など多彩な内容だ。
同じく大学共同利用機関、人間文化研究機構に属する国文学研究資料館との連携で具体化した展覧会で、会期は2月11日まで。
参考
幻の博物館の「紙」-日本実業史博物館旧蔵コレクション展-
- 開催期間:平成20年1月16日(水)~2月11日(月・祝)
- 会場:国立歴史民俗博物館 企画展示第2室
- 料金
- 一般 420(350)円
- 高校生・大学生 250(200)円
- 小・中学生 110(90)円
- ( )内は20名以上の団体
- ※常設展もあわせてご覧になれます。
- ※毎週土曜日は小・中学生、高校生は入館無料です。
- 開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時まで)
- 休館日:1月21日(月)・28日(月)・2月4日(月)
(2008年1月1日記載)