◎手紙:風船で飛ばして15年…カレイが届ける?
(出所)毎日新聞(2008年1月24日19時43分)
「おてがみをひろったかたは、おへんじをください」。千葉県銚子市の銚子漁港で水揚げされたカレイの背中に、川崎市の市立宮崎小(菊池俊光校長)が93年に創立120周年を祝って上げた風船と手紙がついていた。15年を経て約100キロ東の太平洋の海底から回収された手紙。書いた本人の川崎市宮前区、早稲田大2年、白髭(しらひげ)奈津実さん(21)は「こんなすてきな話があるなんて」と喜んだ。
手紙と風船が付いていたのは、犬吠埼(銚子市)の南東約40キロ沖で操業した底引き網漁船「第8大徳丸」(65トン)が24日に水揚げしたカレイ。船主の君野喜好さん(52)が3.6トン分の魚を仕分けている際中に、1匹(体長約50センチ)の背中に四つ折りの紙がべったりと張り付いているのを見付けた。広げたところ「わたしは1ねんせいです。いま、わたしのがっこうは百二十さいです」と、黒いたどたどしい字で書かれた文章が見えたという。
銚子市漁協が宮崎小に問い合わせたところ、93年11月27日の創立120周年記念式典で白髭さんが風船で飛ばした手紙とわかった。白髭さんは当時1年生。全校生徒で風船を上げ、「花の種も付けたような記憶がある」という。「風船が青空に小さくなっていく光景を今でも覚えている。ごみと間違えられず、ちゃんと読んでいただいて、すごい縁を感じる」と話した。
手紙の紙質は耐久性のある油紙。油性ペンで書いたため、長期間海水につかっても読めたらしい。どこに落ち、どんな海流に乗って銚子沖にたどりついたのかは分からない。
漁場は水深1000メートル付近といい、君野さんらベテラン漁師たちも「15年たってカレイの背中に張り付いて現れるとは」と不思議そうに話した。
手紙の全文
おてがみをひろった人へ
わたしは小がっこう1ねんせいです。いまわたしたちのがっこうは、百二十さいです。そのおいわいで、みやしょうおんどをうたったりおどったりします。このおてがみをひろったかたは、おへんじをください。
しらひげなつみ
川崎市宮前区馬絹1795
川崎市立宮崎小学校
◎手紙 「カレイに運ばれるなんて」15年経て筆者の手に
(出所)毎日新聞(1月26日9時55分配信)
千葉県銚子市の沖合で取れたカレイの背中に張り付き、発見された15年前の手紙が25日、筆者の川崎市宮前区の早稲田大学2年、白髭(しらひげ)奈津実さん(21)の手に戻った。白髭さんが銚子漁港を訪れて発見者の漁師の君野喜好さん(52)に会い、思い出の品を受け取った。
手紙は、当時通っていた川崎市立宮崎小学校創立120年記念で風船に付けて飛ばされ、拾った人に連絡を求めていた。白髭さんは「普通なら捨てられる紙切れのような手紙が、深海のカレイに運ばれて手元に戻るなんて。不思議な縁としか言いようがありません」と感無量の表情。懐かしい文面を声を出して読み上げ、「友達が出した手紙の返事が朝礼で紹介され、自分の手紙はどこへ行ったのかなあと思った記憶があります。宝物として大切にします」と君野さんにお礼を言っていた。
◎14年前の風船手紙、底引き網漁で水揚げのカレイがお届け
(出所)読売新聞(2008年1月24日20時34分)
千葉県銚子市の銚子漁港で24日、水揚げされたサメガレイ(体長50センチ)の背中に、14年前、川崎市内の小学生(当時)が風船で飛ばした手紙が張り付いているのが見つかった。
海上に落ちた手紙が長い時間かけて、カレイが生息する水深約1000メートルの深海に行き着いたとみられ、同港の漁協関係者らは「荒波にもまれたはずの手紙が、こんな完全な形で残っていたとは信じられない」と驚いている。
手紙の主は、川崎市宮前区の大学生、白髭奈津実さん(21)。白髭さんは同市立宮崎小1年だった1993年11月、同校の創立120周年記念のイベントの一環で手紙を飛ばしたという。縦14センチ、横20センチの無地の紙に、「おてがみをひろったかたはおへんじをください」などと書いていた。
白髭さんは、手紙発見の連絡に「まさか、こんな形で返事が届くなんて。返事が来た友だちもいたのに自分には来ず、がっかりした記憶があります。とてもうれしいです」と感激した様子だった。
サメガレイをとった銚子市漁協所属の沖合底引き網漁船「第8大徳丸」(65トン、波崎秀行漁労長)は、犬吠埼の南東約45キロの地点で22日朝から23日午後にかけて底引き漁を行った。手紙を発見した船主の君野喜好さん(52)(銚子市浜町)は「魚の背中に、折り畳まれた紙片と、割れた風船の残骸がくっついていた」と話す。
サメガレイは粘着質の体液におおわれており、同漁協では「手紙がカレイの体に張り付いて体液に保護されたから、状態が良かったのではないか」と推測している。
◎15年前の手紙、カレイが「届ける」
(出所)TBSニュース(2008年1月25日11:18付)
「お手紙を拾った方はお返事をください」。15年前に小学1年生の書いた手紙を届けたのは、水深1000メートルにいたカレイでした。15年前の手紙、カレイが「届ける」24日、千葉県・銚子市の銚子漁港で、体長およそ50センチの「サメガレイ」が水揚げされました。カレイの表面に張りついていたもの、それは15年前に神奈川県川崎市の市立小学校1年生が書いた1枚の手紙でした(写真…15年の時を経て、カレイが届けた予期せぬ便り)。
「15年も経っている手紙が、1000メートルの海域から魚のお腹について上がってくるなんて、まずあり得ないでしょうから」(カレイを水揚げした漁師)
手紙は縦14センチ、横20センチの大きさで、「この手紙を拾った方はお返事をください」などと書いてありました。当時、小学1年生でこの手紙を書いて、学校の行事として風船に付けて飛ばした川崎市宮前区の大学2年生・白髭奈津実さん(21)は驚きを隠しきれません。
「本当にそれは自分の書いた手紙なのかということでビックリして、まだ、その時は信じられなかったです」(手紙を書いた 白髭奈津実さん)
(2008年2月1日)