印刷の色は誰が決定する!?

投稿日時:
[43]印刷の色は誰が決定する!? 投稿者:roman 投稿日:04/02/17-20:32
はじめましてromanと申します。ここへは初めての投稿です。

KOUJIさん、リニューアルおめでとうございます。その節はお世話になりました。

私の本職はデザイナーなのですが、随分昔から写真画像も含めたフルデータ入稿というかたちで仕事をしてきた事や趣味が写真だった事もあって、現在はカメラマン、補正・分解屋、デザイナー、印刷管理という節操のないポジションで仕事をしています。

昨今のデジカメやオンライン入稿の普及に伴うDTPのフルデジタル化などによって、CMSの重要性がようやく認識される様になってきたと思います。しかし私のまわりのデジタルを使うカメラマンは、未だにモニタのキャリブがとれていない方も多く、整ったRGBデータの作成は困難で、半ば撮りっぱなしのデータが後工程へと流通しているのが現実です。

例えば、電塾さんのwebサイトでは“印刷入稿のための「RGB画像運用ガイドブック」”なるものが公開されています。内容も利にかなったもので私自身もデジタル撮影をするので大変興味深く参考になりました。しかしこの内容とは裏腹に上記しました様に、私のまわりのカメラマンの意識は低く戸惑ってしまいます。

デザイナーの場合は印刷物まで受注するケースもあり、色補正・CMYK分解までこなす場合も多いのではと思います。そこで皆さんにお伺いしたいのは、デジタルを使うカメラマンから納品されるデータは、どの程度印刷に使えるレベルにあるのかという点です。

また、お伺いしたいポイントは色指標(イニシアティブ)は誰が作り決定するのか、という点でもありまして、例えばきっちり補正されたタグ付きRGBデータというのであればモード変換+微調整、後は意志の疎通が図れる印刷所であれば、そのまま印刷に使用できます。この場合色指標はカメラマンの意志でほとんど決定された事になります。一方ポジの場合(フルデータの場合)デザイナーサイドでスキャニングし補正、分解と進む訳ですから、この場合はデザイナーが色指標を作り決定したという事になります。もちろん個々のケースで様々だとは思いますが…。この色の問題については随分以前からあちこちで論議されていますが、実情を見るとあまり進展していない様に感じています。

カメラマン、デザイナー、印刷会社、それぞれの役割分担やこうあるべきだ、など皆さんのご意見をお伺いしたく投稿させていただきました。

PS なんか色の事ってデザイナーは印刷を管理するケースも多く、鍵を握っている様な気がするのですが…
» 44
[44]Re: 印刷の色は誰が決定する!? 投稿者:たましゃん 投稿日:04/02/18-02:10
>PS なんか色の事ってデザイナーは印刷を管理するケースも多く、鍵を握っている様な気がするのですが…

そうなんじゃないですか?
こんな色にしたいって「意思」は誰が持つのですか?
各役割の人たちとコミュニケーションをとって、目的の為にそれぞれが必要な事をする。
それが大事だと思ってます。
誰かが色に責任を持つとかといった話ではないでしょう。
おっしゃっている事はCMS以前の話に思えますけど。
» 45
[45]Re^2: 印刷の色は誰が決定する!? 投稿者:KOUJI 投稿日:04/02/18-03:57
カメラマンにデジカメで撮影してしてもらったデータもデータ形式やカラー
スペースの伝達が不十分であったり、モニタキャリブレーションのとれて
いない環境でカメラマンが画像の色調補正をしてしまっているケースなど
もあり、それらの知識がある担当者がそれらをカバーしなければいけなく
なっている現在のワークフローに問題があるということでしょう。

デザイナーとDTPオペレータの方の仕事の範疇がボーダレスになったように
デジカメの利用率が上がったことでカメラマンとデザイナーないしオペレー
タの方との仕事の範疇もボーダレスになってきた。その間に生じる色の運用
の仕方や管理をどう分担するべきかというのが議題になるんじゃないかな。

カメラマンの方の中にはデジタルでの運用について勉強して色をみれる環境
を構築してプロファイルを使ったカラーマネージメントをしている方もいま
すが、まだまだ浸透していないというのが実情です。また、カメラマンの方
がそのようなデータを納品しても受け取ったデザイナーないしオペレータが
プロファイルを正しく運用できないケースもあり、そこでも問題になります。
ですので、データ運用の仕方についてコミュニケーションを取ろうとしても
コミュニケーションをとることができず、結局は少しでもわかっている人が
カバーしなくてはいけなくなっていると。

印刷会社さんなどでCTPを導入している会社はカラーマネージメントをしっ
かりしているケースが多く、自社の出力機に最適化した独自のプロファイル
を作成しているケースもあるので、そのような会社に依頼できるのであれば、
入稿までをRGBデータで作成して、印刷会社さんで最終的な色調補正と最適
なプロファイルを使ってCMYK化してもらうのが理想なのではないでしょうか。
画像の性格や色調の傾向にもよりますしね。
でも、色調を大きくいじりたい場合やこういう色にしたいという意思伝達の
ためにデザイナーが触りたいというケースもあると思うので、その場合は色
調補正レイヤーを残したPSDでの入稿ということになるのかな。

どのようなかたちになるにしても、カラーマネージメントについての正しい
知識がもっと浸透しないと何も変わらない気がします。また、作業に関わる
環境のモニタが的確にキャリブレーションをとれていることが前提になって
きますし、使用するアプリケーションもカラーマネージメントを的確にでき
るバージョンの使用が必須にもなるので、更にハードルは高くなってくるの
かもしれませんね。せめて、PhotoshopはVer.6以降にするとか。
» 46
[46]Re^3: 印刷の色は誰が決定する!? 投稿者:熊蔵 投稿日:04/02/18-10:48
本職です(笑)。
デジカメの場合、ポジのような絶対的な見本がありませんので、苦労されている事と
思います。

私の場合、自分でデザインワークまで行う場合はかなりいい加減です(笑)。自分で
出したい色がわかりますから。
しかし、写真のみの場合は仕事のないようによっても違います。

例えばデザイナーからカラースペースの指示等がないケースでは、こちらでどのよう
なデータを用意して良いかわからないと言う事があります。
このような場合は、元画像はいじらずに、ピクトログラフィー等で別に色を合わせた
プリント見本を添付します。特に雑誌等でスタジオ撮影ではなく、取材先での撮影の
場合はこの方法が有効です。

次にスタジオ撮影の場合、必ず同一光源でマクベスのカラーチャートを写し込んだ物を
用意し、それをデザイナーだけではなく製版側にも渡してもらいます。
これにより、印刷機にあわせた調整が可能になります。カタログ等の仕事の場合は
殆どこの方法ですね。

この2つの方法で仕事を進めていますが、大きなトラブルはありません。もっとも、
急ぎの仕事でおりっぱなしと言う事もありますし、仕事の関係で製品化前のカメラを
使うようなケースもありますので、その場合は状況に合わせて最善の方法を選びます
けど。
» 47
[47]Re^4: 印刷の色は誰が決定する!? 投稿者:roman 投稿日:04/02/18-13:09
皆さんレスありがとうございます。

たましゃん さん

おっしゃる事はまったくその通りで正論だと思います。
しかし現実はあまりに違うケースも多くあります。以前にカメラマンとして編集ものも仕事をした時、CMYKでのデータ納品を要求され、印刷特性が分からないため一度その仕事で使う印刷所でテスト印刷を上げ、本番に臨んだというケースでは、色校時に明らかにバランスの崩れたDDCP(と言えない様な代物)に色を合わせる様データ修正を求められ、結果的に酷い上がりになったという経験があったものですから。

KOUJI さん

やはり今日の様に仕事の領域がボーダレス化し、尚且つ個々でワークフローがばらばらな状態では、ポジションごとの責任範囲が明確にしにくく、結局はおっしゃる様に分かる人の誰かが色を管理するという事になってしまうのですね。

CMSの導入でハードルが高くなるというのは、今の状況からするとやっぱりそうなのでしょうかね。一昔前の写植時代だと例えば本文の送りや数指定を間違えたら大変、大損害だという意識を持ちながら仕事をしていた様に、どのポジションも一瞬のワンアクションに緊張感がありましたが、DTPになってそういうものがなくなってしまいました。そこでこの緊張感から解放された時、その分のエネルギーを新たな知識の構築に費やす者は、ハードルが高くなったとは感じないでしょう。逆にパソコンのおかげで、あー楽になったなあと思う者は、CMSなど新しい概念はハードルが高くなっとと感じるのではないでしょうか。

KOUJI さん、“印刷の基礎知識”期待してまっせ!

熊蔵 さん

なるほど、丁寧に仕事をされているのですね。しかも後の工程の事もよく配慮されていて、これならトラブルは起きにくいですよね。

あと制作サイドからCMYKデータや、追い込んだ(モード変換で済むような)RGBデータを希望される様なケースはあるのでしょうか。私がカメランの場合(変な言い方ですね)はクライアントのデザイナーさんはほとんどがCMYKでの納品を希望されます。もちろん印刷特性が判明している場合に限りますが。


うーん、やはり実情はケースバイケースで、今のところ仕事毎に対応していくしかないのかな。
また機器やソフトが良くなるほど意志伝達が難しくなり、個人のスキル差も大きくなっているというのも皮肉なもので、複雑な気持ちです。
» 62
[62]Re^5: 印刷の色は誰が決定する!? 投稿者:熊蔵 投稿日:04/02/20-20:08
> あと制作サイドからCMYKデータや、追い込んだ(モード変換で済むような)RGBデータを希望される様なケースはあるのでしょうか。私がカメランの場合(変な言い方ですね)はクライアントのデザイナーさんはほとんどがCMYKでの納品を希望されます。もちろん印刷特性が判明している場合に限りますが。

稀にCMYK変換して納品と言う事もあります。自分でデザインまでやる場合は当然ですが、
相手のスキルによってはこっちが変換して渡す事もありますよ。
ただし、そういう場合でも必ず未調整のRGBデータと色見本は渡します。
これは印刷機や出力機によって微妙な違いがありますから、オリジナルがある方が
確実性が高まります。

> うーん、やはり実情はケースバイケースで、今のところ仕事毎に対応していくしかないのかな。

10の仕事があったら10通りのワークフローがありますから。
私の場合、ディレクションまでと言う場合だと、各人のスキルにあわせてワークフローを組み直しますし。
一昨年、DTP WORLDでデジカメのワークフローの本に関わったのですが、その時も多種多様でした。

> また機器やソフトが良くなるほど意志伝達が難しくなり、個人のスキル差も大きくなっているというのも皮肉なもので、複雑な気持ちです。

アナログ時代ほど責任の範疇が明確になっていない事の方が大きいです。
ただ、餅は餅屋。どの行程で何を行うかを考えれば、最適なワークフローが見えてくると思います。
» 63
[63]Re^6: 印刷の色は誰が決定する!? 投稿者:KOUJI 投稿日:04/02/20-20:36
> > また機器やソフトが良くなるほど意志伝達が難しくなり、個人のスキル差も大きくなっているというのも皮肉なもので、複雑な気持ちです。
>
> アナログ時代ほど責任の範疇が明確になっていない事の方が大きいです。
> ただ、餅は餅屋。どの行程で何を行うかを考えれば、最適なワークフローが見えてくると思います。

作業が多くなって大変になりますし、ギャランティとのバランスにもよりますが、逆転の発想でそれをウリにして営業するという考えもありますよね。
年々、仕事が減少していく中で価格競争を続けるのは自分の首を締めるだけですしね。なので、今よりも一層、無駄なコストを省きつつ短期間で安定した品質を保てるワークフローを確立することが求められてくると思います。
そうしたときに、早くからカラーマネージメントを取り入れて運用してきた企業は強くなっていくんじゃないかな。

このページをシェア