紙の基礎講座(4-2) 印刷トラブルはなぜ発生するのか

印刷トラブルはなぜ発生するのか

品質管理のもとに工場で生産され、安心して出荷された製品。それでもトラブルは発生します。なぜか。発生要因はいろいろあります。

印刷は、原稿・版・印刷機・印刷インキ・紙などの被印刷物(ここでは紙とします)の五つの基本要素以外に印刷の固有技術、技能や印刷室の温・湿度、用紙・インキなどの保管状態などが加わって行われます。

そのため印刷トラブルの主原因は、紙、インキと印刷条件(製版、印刷機、紙の前処理や環境条件等含む)の三つに大きく分けられますが、他にまれに紙の誤使用や品質設計(スペック)外の条件で印刷される場合などがあります。

そしてトラブルやクレームは、印刷作業性や印刷品質の出来栄えの結果として発生したり、しなかったりします。そのため印刷でのトラブル・クレームは、紙、インキと印刷条件それらの総合的な結果であるといえます。

言い換えますと、印刷の出来栄えや印刷トラブルの発生は一つの要因というよりも、むしろ複合的な組み合わせの結果であることが多いので、それらの要因を総合的に究明して原因を詰め、対策を講じ、解決をしていくことが重要となります。

印刷トラブルが発生した場合に、その原因を究明することは非常に大事なことですが、用紙の立場から言いますと、そのときに確認すべき基本的なことは次の事項です。

まず、最初に用紙が、その印刷版式に合致した専用紙かどうか、すなわち、誤使用でないかどうかを確認することです。

間違いなく、その専用適合紙ならば次に、印刷条件などが用紙の能力(特性・品質規格)を超えていないかどうかを確認することです。

例えば、塗工紙用のタックの高いインキで、上質紙や中・下紙を印刷し、紙むけトラブルが発生するケースがありますが、紙はそれぞれに適合する印刷条件があります。通常は、オフセット印刷が主体なため、印刷用紙には、澱粉・PVAやその他の薬品をサイズプレスなどで紙表面に塗布し、表面強度などの印刷適性が付与されています。しかし、その程度は塗工原紙より上質紙のほうが弱く、さらに中・下紙は弱く設計されております。このように紙のグレードによっても、品質の付与程度に差があり、それぞれの用途・使用条件には適材適所があります。そのため用紙に適用されているインキ・印刷条件が適正であるかどうかを確認することは非常に重要なことです。

そしてその使用条件が適正ならばさらに、その用紙が必要な適性能力を持っていなかったかどうかを確認しなければなりません。適性能力が付与されないで生産され、それが何等かの理由で出荷され、使用されたものかどうかを調べることです。

このように次から次へと要因追求を発展させれば、印刷トラブルがなぜ発生したのか、ついに原因に行き着き、再発防止へ結び付けることができます。

 

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更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)