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⑤印刷ユニットの配置による分類
印刷部の構造から枚葉オフセット印刷機は、ユニット型と共通圧胴型の2種類のタイプがあります。ユニット型(タンデム型)とは同型の印刷ユニットを縦型にいくつか連結したタイプの多色印刷機(1色機も含む)で、タンデム型ともいいます。共通圧胴型は大きな共通圧胴の周囲に数組(4色なら四つ)の印刷ユニットを配置し、被印刷体(紙)は圧胴に抱かせて走行し印刷するタイプで、センタードラム型印刷機とか、コモンインプレッション型印刷機ともいわれます。
なお巻取用には版胴、ブランケット胴、圧胴などのシリンダーの配置から、B・B型(ブランケット・ブランケット型)、すなわちB・B型オフセット輪転機と、サテライト型(ドラム型、共通圧胴型)オフセット輪転機および3本胴タイプの3つのタイプがあります。
ここでユニット(unit)とは、構成している一纏めの単位のことで、印刷機では1色刷りができる一組の印刷装置を1ユニットといいます。例えばオフセット印刷機では、1組の版胴・ブランケット胴(ゴム胴)・圧胴などで1色刷りができますが、これらの印刷装置を1ユニットといいます。
多色枚葉機では、この片面1色刷の印刷ユニットを必要な色数相当を連結して多色刷りを行い、一般には2色、4色、5色、6色のユニットで構成されています。そして各ユニットは、その間にある渡し胴(transfer cylinder、intermediate cylinder)、または中間胴といわれる胴で、前の印刷ユニットの圧胴から渡し爪でもって紙を受け取って、次の印刷ユニットの圧胴に渡し紙を運びます。
図2.各種オフセット印刷機
なお、英語名で版胴はplate cylinder、圧胴はimpression cylinder、ブランケット胴(ゴム胴)はblanket cylinder(rubber blanket cylinder、offset cylinder)といいます。また、前記の巻取用多色オフセット印刷機のB・B型とは、ブランケット対ブランケットタイプの略で、B・B型オフセット輪転機を英語では、blanket to blanket web offset pressといいますが、2本のブランケット胴が対向していることからこう呼ばれているわけです。
2組の版胴とゴム胴がゴム胴を接して向かい合って配置されており、上下にあるそのゴム胴間を紙が通ることによって表裏の両面を同時印刷する印刷機で、圧胴はなくゴム胴が圧胴の代用をします。通常、4ユニットで構成されていますが、雑誌の表紙用などのため6ユニットのものもあります。図2に各種オフセット印刷機を掲げておきます。
すなわち、B・B型ユニットタイプのオフセット輪転機では、1ユニットで表裏各1色が同時に印刷されますが、これが4ユニット連結していれば4色機で、ユニット単位で紙の表裏が同時に印刷され、両面4色の印刷物ができあがるわけです。サテライト型に比べ構造が簡単で、紙通し距離が短く、ロスが少なくてすむメリットがあり、オフセット輪転機の主流となっています。
一方、サテライト型(satellite type、satellite press)は、大径で1本の圧胴用ドラムの周りに数組(2~8色、通常4色)の版胴、ゴム胴がサテライト(衛星)状に配置され、紙は圧胴に抱かれて走行し、同じ面を連続して多色印刷を行ない、その後、反転して別の共通圧胴で裏面を印刷する印刷機です。圧胴1つの周りに数組の印刷ユニットを配置していることから共通圧胴(互胴)型ともいいます。紙は圧胴に抱かれた多色連続印刷のため見当精度は安定していますが、ドライヤーを裏表用別々に2基持つことと、圧胴が大きく、大型で設備費が高いこと、操作性もB・B型より劣るため商業印刷用として設置する例は極めて少なく、最近ではB・B型がー般的です。なお、3本胴タイプは、版胴、ゴム胴、圧胴が順に配置され、ゴム胴と圧胴の間に紙を通し片面印刷する方式です。
⑥印刷判の大きさ(寸法)
印刷判の大きさ(寸法)は、主としてチラシや週刊誌などの用途には用紙寸法B系列が使用され、カタログ・パンフレットや、通信販売・婦人雑誌などの出版物は、A系列が主として用いられています。オフ輪印刷機は、もともとチラシ用途の印刷物が主流であったため、B系列のBT半裁機(全体の約6割)やBT四裁機(ベビオフ)、BT全判機が多く、次いでA系列のAY全判機が続いています。
なお、オフ枚葉印刷機は特に近年大手でサンデープレスといわれる最大紙幅1,470mmの高速・広幅機が登場してきておりますが、一般には軽オフ(菊四裁、紙幅440mmが多い)からA倍判機(用紙寸法で1,250mm幅)までであり、菊全判機(用紙寸法で939mm幅)が過半数を占めます。
ここで印刷機の寸法仕様について例示しておきます。オフセット枚葉機ではA倍判の紙寸法は、最大1,300×940mm、最小880×625mm、四六全判では最大1,120×820mm、最小紙765×540mmであり、菊倍判最大1,440×1,040mm、最小850×600mm。オフセット輪転印刷機でも、例えばA縦倍判オフセット輪転機の仕様は、一般に巻取紙幅1,075~1,250mm(版胴周長886mm)となっています。他にA横倍判は巻取紙幅625~1,030mm(版胴周長618mm)、A縦全判は巻取紙幅535~640mm(版胴周長886 mm)となっています。
参考
原紙寸法とは、A列本判625×880mm、B列本判765×1,085mm、四六判788×1,091mm、菊判636×939mm、ハトロン判900×1,200mmで、原紙寸法とは、断裁に必要なまわりの余白を含んだ紙の寸法のことです。
⑦印刷面
一度の印刷が片面刷りか、両面刷りかですが、オフ枚葉印刷機は一般的に片面刷りが多く省スペース、省力化・短納期化、高生産性を進めるために両面印刷機を導入するケースが増えています。両面刷印刷機(両面印刷機)とは1回の印刷通しで表と裏両面を印刷する印刷機のことで、巻取印刷機の表裏印刷は普通ですので、一般に枚葉紙印刷機で片面刷りか、両面刷りかを表示します。ただし、片面印刷機の場合は、通常、機名に表示しません。
⑧色数
オフ枚葉印刷機の色数は4色が主体ですが、加工のインライン化、付加価値付与のために5色以上の多色印刷機が増え、マットニス、ニス引きや金・銀などの特色を付け高付加価値化・高品位印刷を行う動きが活発化しています。このなかで、高級印刷物も視野に入れた高速8色(4c/4c) 枚葉オフセット両面兼用印刷機も増えています。なお、多品種・小ロット化に対応した1、2色機も比較的小さな印刷会社で多くあります。
また、オフ輪についても、4色機が主体ですが、枚葉機同様の狙いで5色以上も伸びています。
⑨その他(用途、製作会社などの特殊印刷名)
その他に用途、製作会社などの特殊印刷名をつけた印刷機があります。スクリーン印刷機、石版印刷機、コロタイプ印刷機などですが、表4にそれらを掲げます。なお、説明文はホームページ印刷用語辞典 印刷用語集から引用させていただきました。
種類 | 説明 |
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スクリーン印刷機 | スクリーン印刷を行う印刷機。平面用と曲面用があり、平面用では紙、プラスチック、プリント配線基板などの印刷が行われ、曲面用はびん、コップなどに印刷 される。スクリーン印刷とは孔版印刷の一種で、枠に紗を張り、画線部以外の部分の目を樹脂などでつぶしたスクリーン版を用いて、版の紗面からスクィージの 擢動によってインキを押し出し印刷する方法。なお、シルクスクリーン印刷はスクリーン印刷に同じ。 |
石版印刷機 | 石版印刷を行う印刷機。手動印刷機と停止円筒印刷機の形式がある。転写方式には直接印刷とオフセット印刷の2方式がある。なお、石版印刷とは石版石を版材とする平版印刷の一つ。 |
コロタイプ印刷機 | コロタイプを印刷する機械。コロタイプは平版の一種で、ゼラチンを用い、表面に微細なちりめん状のしわができることを利用した印刷法で、調子再現性に優 れ、美術品の複製、写真印画などの高級な印刷に用いられる。なお、コロタイプインキはゼラチンをアルミや硝子基材に塗って版とするコロタイプ印刷に用いる 酸化重合乾燥型平版インキ。 |
フォーム印刷機 | 電子計算機用の連続伝票を印刷すると同時に、ミシン、ジグザグ折などの後加工を行う装置を連結した巻き取り紙輪転印刷機。印刷版式は合成樹脂またはゴム凸 版、オフセット版を用いる。連続伝票は、印刷の裏表見当精度以外に、横ミシンを基準として印刷の天地見当、パンチ、折り位置の精度を要求される。なお フォーム印刷とは事務手続、事務管理などに用いる書式の決まった帳票を印刷する方法。印刷方式としてはオフセット方式、凸版方式、フレキソ方式、グラビア 方式がある。 |
チューブ印刷機 | チューブ印刷は金属チューブ、プラスチックチューブ、ラミネートチューブなどへの印刷の総称。 |
金属板印刷機 | 金属印刷は金属表面に行う印刷。おもにオフセット印刷で行われているが、スクリーン印刷、熱転写印刷法なども用いられる。 |
段ボール印刷機 | 初期の段ボール印刷は、油性インキを用いた凸版印刷で行われていたが、近年は乾燥の速いフレキソ印刷が採用されている。 |
曲面印刷機 | 曲面印刷は三次元立体曲面をもつ製品の表面に行う印刷。被印刷体の種類、用途により、凸版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、タコ印刷などが用いられる。 |
フレキソ印刷機 | アニロックスロールと称するインキ着けロールと速乾性インキとによってゴムまたは合成樹脂凸版の印刷をする輪転印刷機。なおフレキソ印刷とは凸版印刷の一種で、フレキシブルな樹脂またはゴム凸版を用い、溶剤乾燥型インキを用いた印刷方式。 |
ミーレ印刷機 | 代表的な2回転印刷機。圧胴が版盤の帰り工程にも回転し続け、版盤の1往復に圧胴が2回転する円圧印刷機。 |
タコ印刷機 | 曲面に印刷する機械。凹版を用い、にかわとグリセリンでできたたこの頭状の弾性体にインキを移し、被印刷体に転写することからこの名がついた。タコ印刷と は、インキ盛りをした凹版版面にゼラチンやゴムなどの球状弾性体を圧着して、弾性体表面にインキを転移させ、それから被印刷体に圧着して印刷する方式。 |