紙の基礎講座 印刷編(9-3) グラビア印刷機

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(付記)

グラビア印刷機など

グラビア関係に触れます。グラビア印刷は、版胴の表面が非印刷部分になる直刻凹版や食刻凹版、ラップアラウンド版(薄い金属版ないし感光性樹脂版)を使います。直刻凹版は彫刻刀を用いて人工的に直接金属板(彫刻銅版)を彫ります。また、食刻凹版(腐食銅版)は金属板に塗布した耐酸性の防食層を針で彫刻し、その部分を腐食液で凹刻するものです。この方法をエッチングともいいます。

版はインキ容器の中を回転し、ドクター(刃)で掻き落されたインキはエッチングされた溝に残ります。そして印刷ですが、グラビア印刷には、コンベンショナル法、網グラビア法、電子彫刻グラビア法の3種類があります。

コンベンショナル法は、高品位な印刷のために使われます。網グラビア法は、新聞の付録(日曜版など)や雑誌、ダイレクトメールなどの印刷に優れています。電子彫刻グラビア法は、主に包装紙印刷に使われます。

なお、グラビアインキは凹版シリンダーに用いられる印刷インキで、低沸点溶剤を展色剤の主成分としているので蒸発・乾燥しやすく、高速度印刷が可能です。

また、グラビア印刷機は凸版、オフセットなどの印刷機に比べて特異な点はインキローラーが少ないこと、乾燥装置があること、グラビア版胴の表面のインキをかき落とすためのドクター(doctor)という薄い鋼刃があることです。版胴は液状のグラビアインキを入れたインキだめにつかって全面にインキが塗りつけられ、ドクターで表面のインキが除かれて、小さいくぼみにたまったインキが圧胴の接触部で紙に転移されます。このとき深いくぼみのインキは浅いくぼみのインキよりも濃く見えるますから、スクリーンの角点の面積は同じでも濃淡が生じます。これが写真の階調をよく表現する理由です。

グラビアインキは揮発性の溶剤(ガソリン、ベンゾールなど)で溶かした樹脂に顔料を混ぜたものですから、印刷後は急速に乾燥し、紙のみでなく、非吸収性のプラスチック、セロハン、金属箔などにも高速印刷できる特徴はこのインキの性質と速乾性とによるものです。

グラビア印刷は、版上の小さなくぼみの深浅でインキ層の厚みを変えることによって濃淡を表現します。オフセット印刷と並ぶ主要な印刷方式で、週刊誌のグラフページなどの印刷に用いられ、写真の大量印刷に適します。写真の階調を十分に再現し、比較的品質のよくない紙に高速で大部数を印刷でき、また紙以外のプラスチック、セロハン、金属箔などにも印刷できる特徴がありますが、欠点としては製版が困難で、高価であることなどが挙げられます。

なお、国内の出版用グラビア輪転印刷機の速度は、1980年ころは700m/min(紙幅1,860mm)でしたが、1996年稼働の高速・広幅出版用8色(4c/4c)グラビア輪転印刷機(チェルッティ社/イタリア製、佐川印刷/京都本社、工場:滋賀県日野)は、830m/min(約14m/秒)[紙幅 2,450mm、最大巻取径 1,300mm]とさらに高速・大型化しています。

 

①グラビア印刷機(gravure printing press)

印刷3方式の一つ、凹版のうちのグラビア版胴を備えた印刷機。版が平面な銅板を印刷胴に巻き付ける平版グラビア輪転機と、円筒状のシリンダー版を印刷部に装着させる円筒版グラビア輪転機があります。用紙によって枚葉印刷機と巻取印刷機に大別されるが、いずれも給紙部、印刷部、排紙部から成り立っています。印刷部では同形のユニットを色数だけ並べており、ユニットは版胴、圧胴、インキ供給装置、ドクター、および乾燥装置で構成されています。排紙部では枚葉印刷機はそのまま棒積みされ、巻取印刷機はそのまま巻き取るか、出版用折機、紙器用打抜機、シーターなどがインラインで接続されています。

 

②グラビア輪転機(web‐fed rotary gravure press)

巻取り紙を印刷するグラビア印刷機。高速多色印刷ができ、能率が高い。色数分だけ同型の印刷部が設置され、各印刷部には乾燥装置が備えられており、これに給紙機と排紙装置が連結されています。

 

③多色グラビア輪転機(multi color rotogravure press)

多色刷を行うグラビア印刷機。グラビアの印刷ユニットを色数分つなげて構成されています。出版用では表4色、裏4色の8色が一般的で、建材などの特殊印刷では3~8色まであります。いずれも液状のインキを使用するため、印刷後各色ごとに乾燥させて次のユニットに入ります。多色の色見当合せは印刷ユニット間のコンペンセータローラーで紙パスの長さを変えて行ないます。巻取り紙用がほとんどですが、枚葉紙用もあります。

 

④静電グラビア印刷(electrostatic gravure)

グラビア印刷でインキの転移性を改善するため、アメリカのGRI (Gravure Research Institute)で開発された方法で、印刷紙の後面から電圧をかけ、静電引力によりインキセル上のグラビアインキを盛り上げ、インキ転移性を向上させるもの。

 

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更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)