今回は、用語解説として一般紙(普通紙・汎用紙含む)、特殊紙(ファンシーペーパー・加工紙含む)、機能紙について整理しました。
一般紙について
先ず最初に一般紙、普通紙および汎用紙について、例をあげて説明します。
一般紙
説明の前に「紙」の意味について触れます。ご存知のように、英語の「ペーパー」に紙とか新聞(紙)【ニュースペーパー(newspaper)】の意味がありますが、日本語の「紙(かみ、し)」にも、「洋紙・和紙・紙幣」のように「かみ(紙)」そのものを示す場合と、「日刊紙・機関紙・英字紙・紙面」のように「新聞紙」のことを言う場合があります。
そして本題の「一般紙」ですが、一般紙とは、例えば、「スポーツ新聞の記事は、一般紙とは異なり…とか、日経産業新聞は一般紙とは異なり、企業や業界の情報が多い」などと使われることがあります。この場合の一般紙は、スポーツ新聞や日経産業新聞のようにスポーツあるいは産業・経済などを中心にした専門紙でなく、特定な記事に偏らないで、広く全般的な記事を取り扱っている一般的な「新聞」のことを言います。この場合の「紙」は、上記「新聞紙」のことですね。
次に「かみ(紙)」を表す場合ですが、例えば、「合成紙は上質紙などの一般紙と違い石油を原料にしています」と言う一般紙とは、特殊な原料や作り方でなく、一般的に広く使われている原料を用い、作られている普通の紙(かみ)のことを言います。
普通紙
次に「普通紙」とは、これも例をあげて説明します。
年賀状用のはがき用紙で「インクジェット紙」が増加しています。日本郵政公社は来年(2004年)のお年玉付き年賀はがきを史上最多の約44億5千万枚発行。そのうちパソコン用インクジェット紙は、昨年よりも4割増の20億枚といいます。これは従来からある「普通紙」のハガキと違い、家庭などで増えているインクジェットプリンターで、より美しく印刷できるように表面処理をされている「専用紙」(インクジェットプリンター用紙)です。この専用紙は、普通紙と異なり印刷の仕上りをよりきれいにするために、印刷面にあたる紙の表面に顔料などをコーティングして表面を滑らかにしてあります。そのため普通紙とは画質が違い、より発色が良く、より鮮明に、見違えるほど美しい写真などの印刷ができます。
この「普通紙」は、「専用紙」などに対する普通の紙のことを言います。
インクジェット用紙について
インクジェット用紙は家庭用プリンターの普及、デジタルカメラの普及を受けて需要が伸びています。若干、説明しておきます。
- インクジェット用紙とは、インクジェットプリンター用の記録用紙のことです。市販されているインクジェット用紙の種類は、大きくコート紙タイプと普通紙タイプの2つに大別されます。さらにコート紙タイプは、艶(つや)の違いによって光沢、半光沢およびマット(艶なし)の3種類があり、その程度を選ぶことができ、多色印刷でより高精細、高画質な印字品質が得られます。一方、普通紙タイプは、紙の表面は少しざらざらしていますが、サイズ剤やインク定着剤などを加え、印刷に合うように工夫されています。モノクロ(白黒の単色画)中心の画像を印字するのであれば普通紙タイプで十分です。
- インクジェットプリンターは、コンピューターなどの出力プリンターの一種で、細いノズルからインクの微小液滴を、電気信号により制御しながら紙に向けて噴出し、文字・図形を記録する装置のことです。
普通新聞用紙の「普通」には二通りの意味がある
今度は新聞用紙の軽量化の話です。新聞巻取紙の標準坪量(米坪)はもともと51.8g/m2(後に重量新聞用紙と呼称、略号はH)でしたが、省資源・省エネルギーに端を発して軽量化が進み、1976(昭和51)年ごろから49g/m2(普通新聞用紙、略号S)への軽量化の動きが活発化し、1980年には49g/m2から軽量新聞用紙46g/m2(L)へ、1991年からは超軽量新聞用紙43g/m2(SL)へと進んできました。さらに日本経済新聞社が軽量化を進めて2000年10月に超々軽量新聞用紙40g/m2(XL)を試験的に、採用。それに成功し、現在、拡大中で今後の増ページ(40→48頁)の実現への弾みになっています。そして今では、全体のおよそ95%以上が超軽量紙以下となり、完全に軽量紙時代が定着しています。
この場合の普通新聞用紙とは、重量新聞用紙と軽量新聞用紙の間に位置付けされた名称として言われるもので、一般的に言う「普通紙」とはちょつとニュアンスが違います。こういう使われ方もあることをご承知おきください。
汎用紙
そして「汎用紙」です。ところで「汎用」とは、一つのものを広く諸種の方面に用いること、また、「専用」とは、特定の目的・対象だけに用いることと「広辞苑(第五版)」にあります。この意味を踏まえて、下記の例で「汎用紙」「専用紙」の意味を理解してください。
インクジェット用紙には汎用紙と専用紙(純正紙)がある
インクジェット用紙には汎用紙と専用紙(純正紙)があります。この場合の汎用紙は、数あるメーカーのどのプリンターでも印刷できるタイプの用紙で、幅広く使用され適合性があり、品質が特に劣ることはありません。一方、専用紙(純正紙)は、特定のプリンターに合わせて用紙開発されております。あるメーカーのプリンターと最もマッチングするように適合されており、そのプリンターで画質、色再現や保存性が最も優れています。しかし、一般的に汎用紙と比べて価格が高くなります。どちらを選ぶかは、品質とコストなどが判断基準になります。