コラム(76-3) 紙・板紙「書く・包む・拭く」(11)包装用紙について(その1-3)

(2)晒包装紙

晒包装紙は純白ロール紙と晒クラフト紙、その他晒包装紙に分類されます。晒クラフト紙は白色であり印刷効果があるのでデパート、商店の包装紙、手提げ袋などに用いられます。なお、茶封筒や片面だけ艶(光沢)を出したハトロン紙などもクラフト紙です。

 

純白ロール紙

ヤンキー抄紙機で抄造され、大きなドライヤーによって、片面に光沢を付けた純白で上質合の紙(片艶紙)で、原料として晒クラフトパルプ(BKP)を用います。比較的、白色度が高く、強さがあります。通常薄手で坪量範囲は30~65g/㎠、形態は巻取主体ですが、平判もあり、オフセット印刷ないしグラビアやフレキソで印刷され、主として日めくりカレンダーや酒瓶包装紙、デパートなどの包装紙や各種の小袋などに使われます。他にプリンター用の情報用原紙、家具等にプリント紙として貼る建材用途、アルミ箔貼合などのラミネート加工用原紙、ビールラベル原紙や純白ロールコート紙の塗工用原紙としてとしても使用されます。

ヤンキーマシン…乾燥方式がヤンキードライヤーと呼ばれる直径3~5.5mで、表面が鏡面仕上げされた1本のドライヤーで行われる抄紙機をヤンキーマシン(Yankee paper machine)といいます。なお長網ヤンキーマシンとは、ワイヤーパートの型式が長網式(フォードリニア)のヤンキー抄紙機をいい、片艶包装紙やティシュペーパーなどを抄きます。

 

②晒クラフト紙

長網抄紙機で抄造される両更晒クラフト紙と、ヤンキーマシンで抄造される片艶晒クラフト紙があります。片艶晒クラフト紙の坪量範囲は50~140g/㎠で、純白ロール紙よりも厚手で、紙力を出すために針葉樹パルプが多く配合されます。なお、形態は巻取と平判があり、オフセット印刷やグラビア印刷、フレキソ印刷され、デパートなどの包装紙・手提げ袋や薬品・菓子・化粧品などの小袋にも使用されます。また、両更晒クラフト紙はデパートの包装紙、手提げ袋、封筒、産業資材の加工用などに使われます。

 

③その他晒包装紙

晒クラフトパルプを原料として上記以外の一般包装用および加工用などに使用されるもので、簿口模造紙、純白包装紙などがあります。

・薄口模造紙

晒化学パルプを原料とし、填料を配合せずにヤンキーマシンで抄造した後、スーパーカレンダーで処理して両面を高光沢に仕上げした薄手の紙です。白色度、光沢度、平滑度が高く、紙力も強く、印刷適性、加工適性にも優れています。坪量は45g/㎠以下、35g/㎠くらいまでで、各種の一般包装用、薬袋用および伝票といった事務用紙などに使用されます。

・純白包装紙

晒化学パルプを原料とした紙で、デパートなどの包装に使用されます。また、サルファイト包装紙は亜硫酸パルプ(SP)を原料とした片艶紙で、クラフト紙と比較して強さはやや劣りますが封筒をはじめー般軽包装用として使われます。

 

以上、包装用紙の品種を見てきましたが、包装資材の多様化と省資源包装という需要の二極分化が進んでいますが、環境保護問題から包装紙を使用後廃棄することなく、古紙として紙の原料となり再び紙に生まれかわる再生可能な防湿包装紙(再生可能防湿包装紙)などの包装紙も誕生しています。次に包装用紙の生産量の推移をみていきます。

 

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更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)