今回から二回に分け包装用紙について説明していきます。
はじめに
その前にわが国で出荷された包装・容器のなかで占める紙・板紙製品の位置づけを見ていきますが、そのために社団法人 日本包装技術協会の資料からわが国で出荷された紙・板紙製品の出荷金額と数量を抜粋して表1にまとめました(平成19年日本の包装産業生産計画出荷統計参照)。
出荷金額 | 出荷数量 | |||
---|---|---|---|---|
(構成比) | (前年比) | (構成比) | (前年比) | |
紙・板紙製品 |
6兆2,315億円 (40.4%) |
(101.5%) |
12,715千トン (61.0%) |
(102.0%) |
包装・容器総計 |
6兆7,187億円 (100%) |
(103.0%) |
20,837千トン (100%) |
(100.0%) |
包装・容器出荷金額は平成16年に前年比プラスに転じた以降プラス成長が続いており、平成19(2007)年も前年比103.0%と好調です。そのなかで紙・板紙製品もプラス成長が続き平成19年も前年比101.5%と順調です。しかしプラスチック製品などを含む紙・板紙製品出荷金額の構成比は下がっており、前年の41.0%から40.4%と減少が続いています。なお、他の素材のプラスチック製品は30.4%、金属製品17.1%、ガラス製品2.2%、木製品2.6%となっています。
一方、包装・容器の出荷数量は20,837千トン、紙・板紙製品が12,715千トンでその構成比は61.0%(前年60.9%)と微増ながらプラス基調にあります(プラスチック製品19.3%、金属製品9.3%、ガラス製品6.8%、木製品3.5%)。このように包装・容器のなかで紙・板紙製品は金額、数量および構成比とも大きく重要な位置づけにあるといえます。
それでは紙・板紙のうち包装・容器に使われる段ボール原紙、段ボールと紙器用板紙についてはすでに触れましたので紙(洋紙)の品種に該当する包装用紙について説明していきます。
包装用紙とは
印刷用紙が印刷を目的として表面平滑性を重視するのに対し、包装用紙は強度に重点を置き、物品の保護の目的で包装に用いられる紙の総称です。包装に使われるすべての紙、例えば「新聞紙氷包んで食べた頃」(2005年8月5日付「日本海新聞」一日一笑から転載)と川柳に詠われるようにかつての新聞紙も包装紙的な役割をしました。このように新聞紙なども包装紙ということができるかも知れませんが、それは主目的でなく例外的な使用であり、包装用紙として取り扱いません。ここでは包装用として品種分類されている包装用紙についてまとめます。
包装用紙は漂白されていなくて茶褐色の未晒包装紙と、漂白された白い晒包装紙に大きく分類されており、未晒包装紙はさらに重袋(じゅうたい)用両更(りょうざら)クラフト紙とその他両更クラフト紙およびその他未晒包装紙に分かれます。また晒包装紙は純白ロール紙、晒クラフト紙、その他晒包装紙に分類されており、さらに例えばその他両更クラフト紙のように一般両更クラフト紙と特殊両更クラフト紙に小区分されています。それらを表2に示します。
品種 | 説明 | ||
---|---|---|---|
未晒包装紙 | 重袋用両更クラフト紙 | セメント、肥料、米麦、農産物などを入れる大型袋に使用されるもの | |
その他両更クラフト紙 | 一般両更クラフト紙 | 角底袋、小袋、一般包装および加工用などに使用されるもの | |
特殊両更クラフト紙 | 半晒で手提げ袋、一般事務用封筒などに使用されるもの | ||
その他未晒包装紙 | 筋入クラフト紙 | 筋入り模様のある片艶の薄いクラフト紙で、ターポリン紙、果実紙、封筒などに使用されるもの | |
片艶クラフト紙 | 片艶のクラフト紙でタイル用の原紙、果物袋、合紙および雑包装などに使用されるもの | ||
その他未晒包装紙 | 上記以外の未晒もので一般包装および加工用ワンプなどに使用されるもの | ||
晒包装紙 | 純白ロール | ヤンキーマシンで抄造された片面光沢の紙で、包装紙、小袋、アルミ箔貼合などの加工原紙に使用されるもの | |
晒クラフト紙 | 両更晒クラフト紙 | 長網抄紙機で抄造され手提げ袋、封筒、産業資材の加工用などに使用されるもの | |
片艶晒クラフト紙 | ヤンキーマシンで抄造され手提げ袋、薬品、菓子、化粧品などの小袋、加工用などに使用されるもの | ||
その他晒包装紙 | 薄口模造紙 | ヤンキーマシンで抄造したものをさらにスーパーカレンダー仕上げした両面光沢の薄い紙で、一般包装および伝表などの事務用紙などに使用されるもの | |
その他晒包装紙 | 上記以外の、一般包装および加工用などに使用されるもの。純白包装紙、色クラフト紙など |