コラム(78-7) 紙・板紙「書く・包む・拭く」(13)印刷用紙の生産量推移

印刷用紙の生産量推移

それでは表6に最近の印刷用紙の生産量推移を掲げます[日本製紙連合会「紙・板紙統計年報」、日本製紙連合会 統計資料から抜粋]。

表6.印刷用紙の生産量推移(単位:千t)

[( )値は構成比…紙合計は紙・板紙総計あたり、印刷用紙計は紙合計あたり、また非塗工印刷用紙などは印刷用紙計に占める比率。前年比は各品種の2008年生産量伸び率]

品種2000年05年06年07年08年前年比
非塗工印刷用紙

2,890

(28.9%)

2,764

(28.1%)

2,735

(27.6%)

2,686

(26.9%)

2,528

(25.8%)

94.1%
微塗工印刷用紙

1,451

(14.5%)

1,574

(16.0%)

1,626

(16.4%)

1,681

(16.9%)

1,868

(19.1%)

111.2%
塗工印刷用紙

5,280

(52.8%)

5,156

(52.4%)

5,216

(52.6%)

5,288

(53.0%)

5,075

(51.8%)

96.0%
特殊印刷用紙

382

(3.8%)

351

(3.5%)

347

(3.5%)

317

(3.2%)

321

(3.3%)

101.0%
印刷用紙計

10,002

(52.5%)

9,845

(52.1%)

9,924

(52.1%)

9,971

(52.0%)

9,791

(52.0%)

98.2%
紙合計

19,037

(59.8%)

18,901

(61.1%)

19,066

(61.3%)

19,192

(61.3%)

18,826

(61.5%)

98.1%
紙・板紙総計 31,828 30,952 31,108 31,266 30,625 98.0%
微塗工+塗工印刷用紙合計

6,731

(67.3%)

6,730

(68.4%)

6,842

(69.0%)

6,969

(69.9%)

6,943

(70.9%)

99.6%

 

表6について説明しますが、紙・板紙の生産量のなかで紙(洋紙)の占める割合は6割強で漸次増える傾向にありますが、逆にいえば板紙の比率は下がっています。そして紙のなかに分類される印刷用紙の年間生産量はおよそ1,000万tで、紙全体の約52%を占めておりますが、07年、08年ともわずかながら低下しています。これは表にはありませんが本シリーズ(11)で示したように包装用紙が増えており、その影響もあり印刷用紙の構成比が少し低下傾向にあるといえます。

また印刷用紙のなかで現在(08年)、生産量がほぼ四分の一を占める非塗工印刷用紙の生産量と、その構成比ともにここ毎年大きく減少しジリ貧傾向をたどっていますが、この影響も印刷用紙比率低下の一因になっています。さらに生産量が少なくて印刷用紙のほぼ3%である特殊印刷用紙も同様に低下傾向にあります。

これに反して微塗工印刷用紙の生産量は逐次増えており、その構成比率も順調で印刷用紙の2割近くまで増加しています。なお微塗工印刷用紙の08年生産量は前年比111.2%と大幅に伸びています。反面、塗工印刷用紙は浮き沈みがあります。2000年のピーク後、2001年にいったん低下した生産量は以降毎年増えていきますが、08年には前年比96.0%と大きく低下しました。微塗工印刷用紙が大きく伸びているものの、塗工印刷用紙は上下あり伸び悩んでいるわけです。

しかし、この両方を合わせた微塗工+塗工印刷用紙合計では、08年生産量は前年比99.6%とわずかに低下しましたが、構成比は07年の69.9%から08年は70.9%と1%増加しています。このように微塗工と塗工印刷用紙と合わせた塗工紙系ではあまり影響を受けていないことになります。

表6のように、微塗工と塗工印刷用紙を合わせた比率は次第に高まっていますが、これは非塗工印刷用紙からカラー化・多色化、ビジュアル化に伴い、多様化するニーズに対応でき、あるいは対応を可能にし、しかもより高い付加価値を持ち、夢を実現してくれる塗工化への移行を反映したものと考えられますが、そのなかで塗工印刷用紙よりも微塗工印刷用紙への比率が高まっており、コストダウン傾向がみられとともに微塗工印刷用紙の品質アップ化がうかがえます。

こうした塗工化のなかで減少傾向にある非塗工印刷用紙や特殊印刷用紙は、今後どう対応していくのか業界、製紙会社等は試練にあると考えます。

(2009年6月1日)

 

参考・引用資料

 


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)