古紙は町の巨大な森林資源…古紙1t(㌧)から約850kgのパルプが再生されます。これは立木(たちき)(直径14cmφ、高さ8m、樹齡30年)に換算すれば計算上、20本分に相当します。この算出根拠は次のとおりです。
(財)古紙再生促進センターの資料から作成
[前提条件]
- 立木(皮なし)の体積を1本 0.12m3と仮定する。
- [木の形を直径14cmφ、高さ8mの円柱と仮定]
- [木の形を直径14cmφ、高さ8mの円柱と仮定]
- BKP(晒クラフトパルプ)1tを作るに立木 3.6m3が必要。
- [広葉樹1m3の重量= 560kg、BKP化歩留り50%]
- [広葉樹1m3の重量= 560kg、BKP化歩留り50%]
- GP(グランドパルプ)1tを作るに立木 2.1m3が必要。
- [針葉樹1m3の重量= 530kg、GP化歩留り90%]
- [針葉樹1m3の重量= 530kg、GP化歩留り90%]
- 古紙1tから850kgの古紙パルプが再生(歩留り85%)されると想定する。
- 再生用の古紙はBKP 50%+GP 50%でできているものとする。
[算出式]
上記前提条件から、古紙パルプ850kgを立木から作るには、
{( 3.6m3×0.5)+( 2.1m3×0.5)}× 0.85÷0.12m3/本=20本
したがって、計算上、古紙1tは立木20本に相当する。
(内訳)
材種…広葉樹(BKP用)の立木 13本
針葉樹(GP用)の立木 7本
計 20本
ただ、古紙の重要性を理解しやすく、訴えるために、以前に「古紙1tは立木20本分である」という表現のために、あるいは「紙は木から作られる」という単純な説明から、紙はすべて「青々とした立木」を原料にしていると信じられ、紙パルプ産業は森林を破壊する産業だという悪いイメージが作られてきました。
このように「古紙1tは立木20本」という表現は、大きな誤解を与えることになりました。その内容は実際には異なります。もう少し説明し理解を深め、悪いイメージを払拭しなければなりません。
わが国の総木材生産量に占める紙パルプに使用される木材の比率は、およそ40%であり、その約60%が紙以外の建材や合板その他の用途に使われています。
その紙パルプに使用されている木材(木材チップ)は、天然林から伐採された丸太を原料としているのではなく、製材、建材や合板に不向きな細い木(小径木)や曲がった木などの低質材や建築用材など製材時の残材(背板)がほとんどで、その他に人工林低質材、植林木を育てるために必要な間伐材(間引き材)、木材家屋の解体材、風雪などの被害材や古材(老朽材)などです。また、熱帯地域からも木材チップを輸入していますが、そのほとんどが人工林(植林)からのものです。
これらを利用して紙がつくられており、大切な森林を多量に伐採しているということは不適当といえます。むしろ廃材として捨てられるものを資源として有効活用している環境に優しい産業であるといえます。
しかも、わが国は「製紙原料の半分以上(約57%)は古紙を使用しており、世界のトップレベル」にあること、かつ国内外で「植林」を推進していることを考えると紙パ産業は森林を破壊している産業だということは当たらないのではないでしょうか。逆に地球環境に前向きに取組んでいる産業であるといえるのではないでしょうか。
紙をつくるのに「青々とした立木」を原料にしており、「森林を破壊している」という誤解を解き、理解を深めて頂きたいものです。
注
次の(17)森林を切ることは、地球環境を破壊すること?をご覧ください。