印刷について(8-1) 印刷機の分類・種類

8.1 印刷機の分類・種類

印刷するために紙などの被印刷物に加圧(プレス)し、インキを付着させる機械を印刷機といいますが、その版の形状と加圧方式によって平圧式、円圧式および輪転式があります。

すなわち、平な版面(版盤)と平な圧盤で加圧する平圧式印刷機、版の形状は平らですが円筒形の圧胴で加圧する円圧式印刷機および版胴と圧胴の両方が円筒形である輪転式印刷機の三つに大別されます。

 

凸版印刷機には、平圧式、円圧式、輪転式の3種があります。平圧式は小型機や打抜きを行う強圧を要するものに多く、一般に名刺やはがきなどの小型の印刷物に用います。円圧式は1枚ずつ片面刷りする大判の印刷物、例えば雑誌や書籍の本文などの印刷に用いられますが、版盤は往復運動をするため印刷速度に限度があります(最高4,000枚/時くらい)。また、輪転式では1枚ずつ両面刷りする枚葉輪転機や、巻取紙を両面刷りし、しかも折り・断裁加工設備を持つ巻取輪転機がありますが、巻取輪転機は、新聞・出版印刷分野で高速運転で使用されています。

なお、オフセット印刷およびグラビア印刷はすべて輪転式ですが、グラビア印刷での枚葉紙は少なく、ほとんどが巻取紙を使う輪転式であり、オフセット印刷機も同様に、枚葉紙を使用するものと巻取紙を使用するものの2つに大別されます。枚葉紙を使用するものを枚葉オフセット印刷機、巻取紙を用いるものをオフセット輪転印刷機、あるいは単にオフ輪機といいます。

また、型式により、枚葉オフセット印刷機はユニットタイプ(型)と共通圧胴型の2種類のタイプがあります。一方、巻取紙を使い一般的にオフ輪印刷機と呼称している印刷機の正式名は、ウェブ平版オフセット輪転印刷機(web offset printing press) といいますが、枚葉機同様に、B・B型と呼ぶユニット型とサテライト型(共通圧胴型)とがあります。

ここでB・B型とはブランケット・ブランケットタイプの略で、B・B型オフセット輪転機を英語では、blanket to blanket web offset pressといいますが、2組の版胴とゴム胴(ブランケット胴)からなり、ブランケット胴が対向して配置されており、その間を紙が通り両面を同時に印刷する印刷機で、圧胴はなく、ブランケット胴が圧胴の代用をします。

また、サテライト型(satellite type、satellite press)は、共通圧胴用の大きなドラムがあり、その周りに数組のブランケット胴、版胴がサテライト(衛星)状に配置されている印刷機で、片面4色を印刷後、反転して裏面を印刷する方式であり、見当精度はよいのですが大型になり設備費が高いこと、操作性もB・B型より劣るため商業印刷用として設置する例は極めて少なく、最近ではB・B型がー般的です。

なお、一組の版胴・ゴム胴・圧胴によって1色刷りができる印刷装置を1ユニットといいますが、ユニットタイプ(型)とは、この1ユニットをいくつか連結して多色機(1色機も含む)にした印刷機をいいます。

例えば、B・B型ユニットタイプのオフセット輪転機では、1ユニットで表裏各1色が同時に印刷されますが、これが4ユニット連結していれば4色機で、ユニット単位で紙の表裏が同時に印刷され、両面4色の印刷物ができあがるわけです。

また、共通圧胴(互胴)型とは、大径の圧胴の周りに多数(2~8色、通常 4組)の印刷ユニットを配置し、同時に多色印刷を行うことができる印刷機のことをいいます。このように、印刷機は版式や色数、印刷媒体形態が枚葉(シート) か巻取(ロール) かにより分類されます。

もう少し説明しますと、印刷機には1枚ずつシートに印刷する枚葉ないし平台印刷機(シート印刷機)と巻取状の被印刷物を用いる巻取印刷機(ウェブ印刷機)とがあり、版式により凸版用、平版(オフセット)用、凹版(グラビア)用など様々な種類がありますが、基本的には、①加圧機構、②インキをつける装置、③紙を供給・移送し、刷り終わった印刷物を整えて排出する装置、および④その途中で乾燥させる装置の4パートから構成されています。 構造的には、給紙部(フィーダー)、印刷ユニット、排紙部(デリバリー)の大きく三つの主要部からなり、例えば、オフ輪機は給紙部、印刷部(印刷ユニット)、乾燥部、冷却・ウェブパス部、折機部、排紙部などで構成しています。(参照ウェブ)三菱の印刷機械

 

  次のページへ


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)