トピックス短信(5-2) 古紙配合率偽装問題の経緯

次は発端となったニュースです。

 

◎日本製紙の再生紙はがき、古紙は数%

(出所)TBSニュース(2008年1月8日23:15付)

 

環境に配慮し、古い紙=古紙の配合率を40%と定めて日本郵政が販売している年賀はがきに、実際には古紙が1%から5%しか入れられていないことが、JNNの調べで明らかになりました。メーカーの日本製紙もこの事実を認めています。

 

現在販売され、流通している年賀はがきで、「再生紙はがき再生紙はがき、5社が古紙配合偽装と明記されているものについて、日本郵政は、古紙40%配合の紙を使うと定めています。

しかしJNNが、去年11月1日に全国で発売された年賀はがきを独自に分析したところ、実際には40%を著しく下回る、わずか1%程度の古紙しか使われていないという結果が出ました。

極端に低い古紙配合率再生紙の“偽装"とも受け取られかねないものですが、取材に対し日本製紙は、古紙の配合率が実際には1%から5%であると認め、その理由として「ある種の古紙やそれに付随する物の中には、再生紙の品質に問題を生じさせるものがあるため、低い配合率になった」と説明しています。(引用者注記)JNN…Japan News Network(ジャパン ニュース ネットワーク)の略称。東京放送 (TBS)をキー局、毎日放送 (MBS)を準キー局とする日本の民間放送局網のこと。

 

再生紙年賀はがきに続いてコピー用紙でも次のように偽装が発覚します。いずれも日本製紙の内部告発によってです。

 

◎日本製紙、古紙100%コピー紙も偽り

(出所)TBSニュース(2008年1月15日付)

再生紙年賀はがきに古い紙=古紙を1%から5%しか配合していなかった日本製紙が、「古紙100%」と銘打って製造していたコピー用紙の古紙の配合率を偽装し、実際には古紙100%ではなかったことが、JNNの調べで分かりました。環境に配慮して日本郵政が古紙を40%配合するよう求めた再生紙年賀はがきに、古紙を1%から5%しか入れていなかった日本製紙。私たちには、内部告発が寄せられていました。

「その他、洋紙についてもかなり公称配合と実配合との乖離があるのが実態です」<内部告発メールより>

私たちは年賀はがきだけでなく、製紙メーカー各社が製造している「古紙100%配合」とされるコピー用紙についても、メーカー名を伏せて専門家に持ち込み、分析を進めていました。紫外線で光る繊維。上質な古紙や、ちらし古紙が入っていることの証だと言います。分析では、この光る繊維の割合を算出したり3種類ある紙の繊維のうち、どの繊維がどの程度入っているかを調べたりしました。

一方で私たちは、日本製紙が「古紙100%」として製造していたコピー用紙の古紙の配合データを入手。分析結果と照合したところ、「古紙が100%配合されていることはありえない」と確認されたのです。

日本製紙は去年4月、「古紙100%の再生紙の製造を取りやめる」と突然発表していました。取材に対し日本製紙は、「調査中でコメントできない」と話しています。

環境省は既に、日本製紙と業界団体にはがき以外の紙製品全般についても古紙の配合率を調査するよう指示していますが、古紙100%を偽った「エコ偽装」とも言える今回の事態に、大きな波紋が広がりそうです。

 

こうして問題が次第に拡大していきます。

ここで経緯を簡単にまとめておきます。

1月8日 日本製紙が生産している再生年賀はがき古紙配合率が公称よりも低いことが発覚(TBSニュース)。問題化する。
15日 日本製紙のコピー用紙でも古紙の配合率偽装が発覚(TBSニュース)。上記「再生年賀はがき」含めていずれも日本製紙の内部告発により問題化。
16日
  • 日本郵政会社が日本製紙のほか、北越製紙、三菱製紙、大王製紙、王子製紙の5社すべてで年賀はがきに限らず、すべての再生紙はがきについて古紙配合率の偽装を発表。
  • 同日夕方に最初に問題が発覚した日本製紙は、記者会見を開き、中村雅和社長が「環境偽装と言われてもしかたがない」などと認め、謝罪、辞意を表明。
18日 王子製紙、大王製紙、三菱製紙、北越製紙の各社はそれぞれ年賀はがきだけではなく、コピー用紙や印刷用紙などの再生紙でも古紙配合率の偽装を発表。

同日夜、中越パルプ工業もコピー用紙や印刷用紙、包装用紙での偽装を発表。

(注)これで紙メーカー上位6社の偽装が判明。なお、この6社合計(関係会社含む)の紙生産量のシェアは約80%(2006年実績)と大。

19日 紀州製紙もコピー用紙や印刷用紙での偽装を発表。
21日 特種東海ホールディングス(東海パルプ、特種製紙)も印刷用紙や封筒用紙、情報用紙、機能紙での偽装を発表。
22日

三島製紙、丸住製紙(愛媛県四国中央市)、王子製紙子会社の王子特殊紙(東京)、日本製紙グループ本社傘下の日本大昭和板紙(東京)も、再生紙の一部で古紙配合比率を偽っていたと発表。

製紙連も認識か、環境省が実態把握へ(TBSニュース)…下記参照
23日 リンテックと日清紡、三善製紙(中越パルプ工業の子会社)の3社が印刷用紙、包装用紙などの偽装を認め、それぞれ発表。
24日 巴川製紙所が2006年秋までの約3年間、薄葉印刷用紙で古紙配合率に偽装があったことを認め、発表。
25日 大興製紙も偽装を公表。
  • 日本製紙連合会(製紙連)が古紙配合率問題検討委員会の初会合開催。
  • 偽装を正式に認めたのは日本製紙連合会(製紙連)加盟17社となり、製紙連加盟38社の内、板紙やパルプ専業を除く、印刷・情報用紙などの洋紙 メーカー24社のなかの再生紙メーカーは21社あり、その8割の企業で古紙配合率を偽っていたことになる(日本経済新聞から)。なお、製紙連非加盟では1 社(日清紡)が偽装。
31日

古紙パルプ配合率未達の問題に対するお詫び(声明)と記者会見…日本製紙連合会会長と大手5社の社長および製紙連理事長)

[ホームページ日本製紙連合会ないしhttp--www.jpa.gr.jp-file-release-20080131060130-1.pdf参照]。

 

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更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)