◎17社が再生紙偽装、生産量の3割に・製紙連の実態調査
(出所)日本経済新聞、NIKKEI NET(日経ネット)(2008年1月26日付)
日本製紙連合会が25日発表した古紙配合率に関する実態調査によると、再生紙の古紙配合率を偽装していたメーカーは17社にのぼり、判明分の合計で再生紙の3割にあたる月間7万7900トンの偽装品を生産していたことが分かった。偽装を公表していなかった大興製紙(静岡県富士市)の不正も同調査で明らかになった。業界で偽装が横行していた実態が浮き彫りになった。
製紙連の鈴木正一郎会長(王子製紙会長)は同日の記者会見で「違反の多さは残念だ」と述べ、同日に初会合を開いた古紙配合率問題検討委員会で再発防止策をまとめる考えを強調した。再生紙は定義があいまいで、再生紙メーカー数なども明確になっていないため、今後、同委員会で定義の明確化、検査や品質保証を担当する第三者機関の設置、法令順守体制の強化などを話し合う。
印刷・情報用紙などの洋紙メーカー24社のうち、再生紙と銘打って商品を販売しているメーカーは21社あり、8割のメーカーが古紙配合率を偽っていたことになる。
◎経産省、業界団体に表示訂正など要請・再生紙偽装問題
(出所)日本経済新聞、NIKKEI NET(日経ネット)(2008年1月26日付)
再生紙の偽装問題を受け、経済産業省は25日、日本製紙連合会など業界4団体に対し、消費者の混乱を防ぐため古紙配合率の表示の訂正・削除や、今後の契約内容の見直しなどを求める文書を通知した。取引先から返品された商品については、資源の有効活用のため可能な限りほかの取引先を探すよう求めた。
◎環境省、製紙連に追加報告を要請へ・再生紙偽装問題
(出所)日本経済新聞、NIKKEI NET(日経ネット)(2008年1月26日付)
古紙配合率に関する日本製紙連合会の調査結果について、環境省は25日、「内容が著しく不十分」として週明けにも追加報告を求める方針を固めた。「大半の社が直近の生産状況しか明らかにしていない」などが理由で、提出期限は設けず、可能な限り早期の対応を求める。偽装時期から現在までの生産状況のほか、OEM(相手先ブランドによる生産)による供給量についても追加報告を求める。加盟17社で判明した偽装が「いつ始まり、どこまで広がっているのか把握する」(環境経済課)。
偽装の背景について「『品質や売り上げシェアの維持』では説明にならない」(同)と、今回の報告に厳しい態度で臨む方針で、各社ごとに詳細な説明を求める。
これは少し前の記事です。
◎製紙連も認識か、環境省が実態把握へ
(出所)TBSニュース(2008年1月22日22:45付)
環境に優しい製品を装ったエコ偽装。業界団体の「日本製紙連合会」が組織として以前から偽装を認識していた疑いが発覚し、環境省は、実態把握に乗り出しました。「配合率について(製紙連から)“見直しを"と環境省に話があったが、“偽装隠し"だったならば由々しきこと」(鴨下一郎 環境相)として、環境省は22日、実態把握に乗り出す方針を明らかにしました。
日本製紙連合会は、「組織として偽装を認識した上でグリーン購入法の基準引き下げを提案したという事実はありません」とコメントしています。(抜粋)
◎再生紙偽装、公取が徹底解明の方針
(出所)TBSニュース(2008年1月23日17:02付)
製紙メーカー各社が再生紙の古紙配合率を偽装していた問題で、公正取引委員会の伊東事務総長は「消費者の信頼を損ねる行為だ」と述べ、徹底して事実解明を進める考えを示しました。
「“環境のためによい"として購入した消費者の信頼を損なう行為。既に製紙会社から、順次報告を求めているところ」(公正取引委員会、伊東事務総長)
伊東事務総長は会見でこのように述べ、今回の配合率偽装の問題で、景品表示法違反の可能性があるとみて、徹底した事実解明を行う方針を明らかにしました。
この問題では、公正取引委員会が既に製紙メーカー数社の担当者らから話を聞いているほか、関係資料の提出を受けている事がわかっています。
景品表示法は実際より優れた商品にみせかける行為を禁じていますが、今回のような「環境にやさしい商品」を装ったケースは異例で、公正取引委員会は独占禁止法との関連も含めて慎重に調査を進めています。景品表示法に違反した場合、排除命令や警告などの処分が定められています。
紙市場にも影響が出ています。例を挙げます。
◎日本製紙製使用の商品、コクヨが生産を一時中止
(出所)日本経済新聞、NIKKEI NET(日経ネット)(2008年1月22日付)
コクヨは21日、日本製紙製の再生紙を使用した商品すべてを一時生産中止にしたと発表した。対象はノートや伝票類など772品目で、再生紙を使用する全4000品目の約2割に当たる。キャラクター文具製造の大手、サンスター文具(東京・台東)もノートなど再生紙を使った紙製品について、2月出荷分から順次、古紙の配合比率の記載をやめる。
生産を中止するのは、コクヨの文具の製造販売子会社であるコクヨS&T(大阪市)。主力商品の「キャンパスノート」全166品目のうち、119品目も対象になる。月末をメドに、エコマークなど環境関連表示すべてを削除した上で生産を再開する見込み。在庫は出荷を継続する。他の製紙メーカーにも古紙配合率の調査報告を要請している。
◎コクヨ、新たに1800品目生産中止・紙製品の半分超が偽装
(出所)日本経済新聞、NIKKEI NET(日経ネット)(2008年1月31日付)
コクヨは31日、再生紙に含まれる古紙の配合比率に虚偽があった問題で、新たに1811品目の紙製品の生産を一時中止したと発表した。すでに生産をやめた商品と合わせ偽装再生紙を使った紙製品は計2500品目を超え、同社の紙製品全体(約4000品目)の半分超になった。環境関連表示を削除した上で順次生産を再開し、在庫商品は出荷を継続する。
新たに生産を中止したのは、ファイル類1004品目やコピー用紙116品目など。コピー用紙の一部には古紙配合比率を70%と表示しているのに実際は1~5%の製品もあったという。コクヨと再生紙で取引のある製紙メーカーは計23社で、このうち偽装があったのは日本製紙など計18社に上る。
次は地元、鳥取県での記事です。
◎自治体、卸小売業者、対応に苦慮 再生紙偽装問題
(出所)日本海新聞(2008年1月22日付)
大手製紙メーカーの再生紙の古紙配合率の偽装問題は、鳥取県内自治体や卸小売業者に波紋を広げている。二十一日までに県と四市の一部は実態把握を始めたが、このうち県購入の再生コピー用紙約七千五百万枚のほとんどが「偽装紙」の可能性が高いことが判明。古紙配合率百%紙の利用を推進してきた県、卸小売業者ともメーカーに憤りを隠さない。一方、偽装を公表した大手製紙六社が国内で八割以上のシェアを占める現状などから、他の製紙会社の再生紙で必要枚数を確保するのは難しく、関係者は対応に苦慮している。 県と市は、コピー用紙で「古紙配合率百%で白色度70%程度以下」、印刷物で「古紙配合率70%以上」といった国のグリーン購入法に基づき物品発注している。
県は納入契約を結ぶ卸小売業者(三社)から、偽装を公表した大王製紙、日本製紙など四社の紙を仕入れ。鳥取市も独自調査で偽装製紙会社二社の再生紙を使用していたことが分かり、倉吉市は納入業者を通じて確認中。県と境港市は納入業者に「非はない」として処分はしない方針だ。
県は昨年度、四種類の再生コピー用紙を三万二千箱購入。枚数換算すると約七千五百六十二万枚になる。本年度も同程度の量が納入される見通しで、物品を調達する県集中業務課は「ほぼ全てが偽装紙の可能性が高い」とみる。鳥取市内の県納入業者は「メーカーを信頼していたので、偽装は寝耳に水」と話し、対応に頭を抱える。
自治体のグリーン購入に関する指針や基本方針に沿った取り組みへの影響も不可避だ。境港市は「再生紙に関しては目標達成できない」とし、担当者は「配合率が達成できないなら、できないとはっきり言ってくれればいいのだが」と製紙各社の対応に不満を漏らす。米子市は「現実問題として紙は使わざるを得ない。国や県の対応を見ながら対応を決めたい」とした。関係者の話では、現行法基準に沿った再生紙の確保は極めて厳しい現状だという。県環境立県推進課によると、昨年夏ごろから業界内の古紙不足が深刻化。印刷物納入では「古紙配合率70%以上」の適用を見送り、「できるだけ環境負荷の少ない用紙」との表現にとどめている。
鳥取市内のある卸小売業者は「古紙百%の紙そのものが手に入らないのではないか。再生コピー用紙の生産を中止する製紙メーカーが出てくる」と指摘。今回の問題発覚を受けて製紙メーカーは出荷停止措置を取っており、同市内の別業者は「停止が続けば安定供給できるか不安だ」と困惑する。
国がグリーン購入法の判断基準を見直す動きを見せ、近年は紙生産を目的にした植林材や森林認証材など「バージンパルプ」と呼ばれる素材が環境に配慮した製品として注目されているという。県は今後も法基準に沿う姿勢で、環境立県推進課は「このまま偽装紙を使用することはできない。実態として古紙百%のコピー用紙が存在するのか分からず、国の法改正の動きを見ながら判断したい」としている。