さらに余波は広がっています。
◎印刷業界も
(出所)毎日新聞(2008年1月22日)
印刷会社約1万2000社でつくる業界団体の日本印刷産業連合会は21日、東京都内で緊急会議を開き、偽装問題の対策について協議を始めた。同連合会は、印刷物を発注する顧客の需要が高い再生紙に対する信頼が失われたことを重大視。業界を挙げて、原因究明や再発防止の取り組みを製紙業界に求める必要があると判断、近く日本製紙連合会に対し要請文を提出する方針だ。
◎『コピー紙ない』国会中、需要増 両面フル活用 R100外す
(出所)東京新聞 TOKYO Web(2008年1月27日)
コピー用紙がない-。省庁や自治体に思わぬ波紋を広げた再生紙の古紙配合率偽装問題。国会開会中でコピーが増える時期にもかかわらず、用紙の払底を心配しないといけなくなった省庁は、メールや両面コピーをフル活用するなど「けちけち作戦」を展開。「R100(古紙100%)」と印刷物に表示するなど環境への配慮をうたっていた自治体は、あわてて表示を取りやめるなど、対応に追われている。
「コピー用紙は古紙100%が前提で、証明も求めてこなかったが、まさに詐欺的行為だ」。環境に配慮した商品の購入を国などに義務づけたグリーン購入法を所管する環境省の担当者は、相次ぐ偽装発覚に怒りをあらわにする。「明らかに契約違反。損害賠償の請求もありうる」
偽装再生紙の納入ストップなどで、各省庁は用紙の確保に追われた。半年に約二万箱(一箱二千五百枚入り)のコピー用紙を調達する厚生労働省は、今後一週間に必要なA4判再生紙約八百箱を確保した。これも偽装再生紙だが「待っているだけでは紙がなくなってしまう。紙がないと仕事にならない」と判断した。調達担当者は「各省の取り合いになっていると聞く」と明かす。折しも大量のコピーを取ることが増える国会開会中。各部局には「両面コピーして節約を」と頼んでいるという。
文部科学省も二十五日午後、各部署に「両面コピーなどでコピー用紙を有効に使うように」とメールで通知。外務省も同様に「なるべく納入が再開されてからコピーを」「自分で思いつく節約術を」と呼び掛けている。
再生紙購入の努力義務を課された各自治体にも混乱は広がる。年間約十億枚の紙を使う東京都。環境局環境政策課の担当者によると、古紙100%の再生紙は「王子製紙しかなく、調達が困難。どれだけ確保できるか全く読めない状態」という。
担当者は「技術的にダメなら初めから言うべきだ」とメーカーを批判。用紙の節約は「従来やってきた。手に入らないからといって紙の購入を減らしては、行政が停滞し、都民に迷惑をかける」と話し、「なるべく配合率が高い紙を使うように」と要望するにとどまっているという。
職員の名刺に「古紙100%再生紙」と印刷している埼玉県。確認したところ、古紙配合率は40%だったという。
「表示が違っているというのは大変不愉快」。上田清司知事は偽装が発覚したコピー用紙や名刺印刷用紙の納入中止を指示、二十五日からコピー用紙の納入が止まった。コピー用紙は一週間ごとに納入され、次の納入日の二月一日までに代替紙が見つからないとピンチだ。担当者は「融通し合って在庫分を使ってもらうしか」と気をもむ。
日本製紙のコピー用紙を購入している神奈川県は、十八日から発注を止めたが、業務に支障をきたすとして、二十三日に再開した。配合率100%の紙の入手が難しいため、100%に近いものを必要な分だけ購入するよう各課に通知。節約のため▽既存資料の活用▽両面コピーの徹底▽電子メールの活用-などを職員に呼び掛けた。
横浜市は、職員の名刺から「R100」マークを外すことを決めた。パンフレット類も、同様に外すかどうかを検討している。川崎市も印刷物に古紙配合率を記すことや「R100」の表示を避けるよう指示。調達を必要最低限に抑えるよう各部署に求めた。
例外は千葉県。昨年十月以降に、一括購入で納入されたコピー用紙に、偽装品はないことが確認されたという。 各省庁や自治体の不満の矛先は、態度をはっきりさせない環境省にも向かう。神奈川県環境計画課は「早く方針を決めてほしいが、『調査中』と言うばかりで困ってしまう」と訴えた。
◎再生紙偽装 省庁も困惑 調達基準満たせず 返品は環境負荷に
(出所)東京新聞 TOKYO Web(2008年1月27日)
再生紙の古紙配合率偽装問題で、中央省庁や地方自治体が対応に追われている。日本製紙連合会の会員企業のうち再生紙を製造する会社の七割までが、古紙の配合率を偽装。一方で、再生紙など環境に配慮した製品の購入を推進するための「グリーン購入法」に基づく基準で、一定の古紙が配合された用紙を購入しなければならないためだ。業者側の出荷停止の影響もあり、一部省庁は、再生紙の新規調達がストップ。今後の調達のめども立っておらず、法と現実のはざまで困惑が広がっている。
「一体どうしたらいいのかという問い合わせがひっきりなしです」
グリーン購入法を所管する環境省には、偽装問題が発覚した後、各省庁や自治体からの電話が相次ぎ、担当者は終日対応に追われている。
同法は紙類のほか、文具、家電、自動車などの環境に配慮した商品について調達基準を示しており、国には義務、地方自治体には努力目標として購入を定めている。
紙類ではコピー用紙は100%、印刷用紙は70%の古紙配合率を定めているが、コピー用紙の場合、製紙大手で偽装がなかったのは王子製紙(東京)だけ。他社から購入していた省庁は、すべて基準に反することになってしまった。
偽装のあった大王製紙(東京)製のコピー用紙を購入していた厚生労働省は、同社が出荷を停止したため、今月十八日の入荷分を最後に払底。急きょ本年度前半に契約していた紀州製紙(東京)製の在庫を押さえた。これも偽装紙なので、あくまでも暫定的な対応だ。
文部科学省も、購入先のコピー機メーカーが再生紙の販売を中止したため将来の在庫に不安が。「環境省に相談しているが明快な回答がない」(会計課)と困惑する。
当の環境省も、偽装のあった用紙の在庫を抱えているが、「返品すれば環境負荷がかえってかかってしまうので、このまま使い続けるしかない」(担当者)状態だ。 鴨下一郎環境相は、問題の徹底究明の意向を表明。同省は二十九日に検討会を開き、再生商品のチェック方法や罰則の在り方などを協議する。
◎偽装再生紙使った文具、販売継続へ説明文
(出所)日本経済新聞、NIKKEI NET(日経ネット)(2008年1月29日付)
ノートや封筒などのメーカー約100社が加盟する全日本紙製品工業組合(東京・台東)は28日、古紙配合比率を偽装した再生紙を使った紙製品の販売を継続するため、説明文書を卸・小売業に配布することを決めた。2月中旬までに小売店の店頭に掲示してもらい、消費者に理解を求める。在庫を回収すると、新入学などの需要期を前に品不足になると判断した。
エコマーク制度を運営する日本環境協会(東京・港)は、偽装再生紙を使った製品を販売する時は消費者に告知するよう求めている。すでに生産した商品のエコマークをシールなどで隠すのは手間がかかるため、紙製品工業組合は説明文書で対応したい考え。今後、日本環境協会や経産省や環境省などに理解を求めていく。
◎再生紙の官庁納入容認 配合率基準未満でも
(出所)朝日新聞(2008年1月30日00時07分)
再生紙の古紙配合率偽装問題で、環境省は29日、有識者による検討会を開き、グリーン購入法で義務づけられた配合率基準を満たさない製品でも、当面は条件付きで官庁への納入を認める方針を決めた。納入業者側が、植林や古紙回収支援といった環境保護活動で、本来の契約で実現できた環境配慮の分を埋め合わせることを宣言した場合などに限る。
官庁で使うコピー用紙は年間約6万トンにのぼるが、グリーン購入法に基づいて官庁での使用が定められた100%古紙のコピー用紙を作れるのは現時点では王子製紙1社だけと判明。他社は配合率を30~40%程度まで下げない限り、供給が難しいという。官公庁でコピー用紙不足が切迫した問題となりつつあり、緊急避難的に認めることにした。
すでに納入された紙製品についても、「返品で輸送・廃棄などすれば環境負荷が余計にかかり、法の趣旨に反する」として利用を認める。
環境省によると、官庁で使う紙製品は、製紙会社が直接供給するのではなく、コピー機メーカーなどが納入している場合がほとんど。基準外の紙製品の在庫を抱えている納入業者もいわば「被害者」となることに配慮、暫定措置として納入を受け入れるべきだと判断した。納入業者が製紙会社側に埋め合わせの活動をするように求める。ただ、検討会では、委員から「埋め合わせさえすればいいと製紙会社に免罪符になりはしないか」といった意見も出た。検討会は今後、グリーン購入法見直しを含めて対応を検討し、3月末までに報告書をまとめる。
◎環境省 基準外の紙購入容認
(出所)NHKテレビニュース(1月29日20時37分)
この問題は、製紙会社各社が再生紙を使ったはがきやコピー用紙、印刷用紙などを作る際に古紙の割合を決められた基準より低く偽装していたものです。国の省庁や関係機関は「グリーン購入法」で環境に配慮した製品を購入することを義務づけられており、コピー用紙は古紙の配合率が100%、印刷用紙は70%以上などと基準が決められています。今回の偽装問題を受けて、29日開かれた環境省の検討会では、偽装問題の発覚後、国の官庁や関係機関などで再生紙の調達に支障が出ている現状を踏まえ、緊急的な措置として一定の条件を満たせば基準を満たさない紙の購入を認めることを決めました。
一方、先週、製紙会社が環境省に報告した実態調査の結果について、調査の対象が一部に限られていることや原因の究明があいまいだとして、全容を解明するため、あらためて調査するよう求めることになりました。
検討会では、今後、再生紙の古紙の割合に偽りがないか検証する仕組みやチェックの方法などについて議論していく方針です。出席した委員の1人で消費生活アドバイザーの辰巳菊子さんは「古紙がちゃんとリサイクルされているものと信じて、わたしたちは一生懸命古紙を集めてきました。ほんとうに裏切られた思いで腹立たしいです。第三者が検証できるしっかりとした体制を作ってもらいたいです」と話しています。
◎古紙の割合 チェック方法検討
(出所)NHKテレビニュース(1月30日7時35分)
この問題は、製紙会社各社が再生紙を使ったコピー用紙などで古紙の割合を法律で決められた基準より低く偽装していたもので、国の省庁などでは新たなコピー用紙の発注を停止していました。環境省は29日開いた検討会で、各省庁などで紙不足が深刻になっているため、基準を満たしていない紙の購入を一定の条件の下で認める方針を決めました。
また、これとあわせて、現在は再生紙などの製品が環境に配慮して作られているか検証する仕組みがないため、環境省では再生紙の古紙の割合を科学的にチェックする方法を検討し始めました。具体的には、対象となる再生紙に紫外線を当てて白っぽく光る蛍光染料がどの程度含まれているのか調べる方法が候補に上がっています。雑誌やチラシなどの古紙には製造や印刷の課程で蛍光染料が付着するため、紫外線を当ててもあまり光らない紙は、古紙の割合が低いと判断できるということです(右写真参照…写真左が古紙配合多、右は配合少か無)。また、顕微鏡で再生紙を観察し、新聞紙特有の黄色い繊維を見つける分析など、複数の方法と組み合わせてチェックすることを検討しています。再生紙に詳しい東京農工大学の岡山隆之教授は「さまざまな手法を組み合わせれば、古紙の割合に疑問のある製品をある程度推定できるが、最終的には使った古紙の種類がわからないと確かなことは言えないので、製紙会社に詳しい資料の提出を求めることが必要だ」と話しています。一方、検討会では製紙会社がまとめた実態調査の結果について、原因の究明が不十分だとしてあらためて調査を求めることになりました。委員の1人で消費生活アドバイザーの辰巳菊子さんは「リサイクルされているものと信じて一生懸命古紙を集めてきたのに、裏切られた思いで腹立たしいです。第三者が検証できるしっかりとした体制を作ってもらいたいです」と話しています。
◎再生紙偽装、追加調査を指示 経産省
(出所)朝日新聞 アサヒ・コム(2008年1月30日22時32分)
再生紙偽装問題で経済産業省は30日、製紙18社(製紙連加盟17社と、未加入で自主的に偽装を報告した日清紡の計18社)に実態調査の追加を指示した。25日に日本製紙連合会が報告した調査結果は不十分と判断。過去にさかのぼって偽装の全容を解明する狙いだ。調査体制や表示の訂正などの当面の対応は2月6日まで、経営トップが偽装を知った時期など過去の事実関係は同20日までに報告するよう求めた。
調査項目は10項目。古紙配合率の基準を満たさない製品の供給を始めた時期や、いつからどの範囲の役職員までが把握していたかなどの項目が含まれている。環境省も、近く再調査を求める方針だ。