お詫び声明発表と合同記者会見
2008年1月31日
日本製紙連合会会長と大手5社の社長および製紙連理事長による「古紙パルプ配合率未達の問題に対するお詫び(声明)」発表と合同記者会見
[ホームページ日本製紙連合会ないしhttp--www.jpa.gr.jp-file-release-20080131060130-1.pdf参照]。
◎製紙連合会、再生紙偽装を謝罪 環境保全へ10億円
(出所)アサヒコム(2008年1月31日19時02分)
再生紙の古紙配合率偽装問題で、日本製紙連合会の鈴木正一郎会長(王子製紙会長)は31日、同会に加盟する大手5社の社長らとともに記者会見した。鈴木会長は「紙のリサイクルにご尽力を頂いている皆様の熱意と志を著しく損なった」との謝罪声明を読み上げ、そろって頭を下げた。
また、環境省の要請に応える形で、今後、約10億円をかけて間伐材の利用推進や紙リサイクルの促進を図る環境保全策も発表した。偽装は加盟17社で発覚しており、他の中小12社にも参加を呼びかける。
グリーン購入法が国の機関などが使うコピー用紙の配合率基準を100%としているため、官公庁での紙不足の懸念が広がっている。このため、環境省は環境保護への新たな貢献を前提に、納入基準を当面緩和する方針を決めていた。
◎製紙 10億円拠出で貢献活動
(出所)NHKニュース(1月31日18時27分)
この問題は、製紙メーカー各社が、「はがき」や「コピー用紙」などの幅広い製品で、再生紙に混ぜる古紙の割合を基準よりも少なくしていたものです。この問題で、王子製紙や日本製紙など主要メーカー5社と、業界団体の日本製紙連合会の代表らが31日、そろって記者会見し「循環型社会への期待を大きく裏切り、多大な混乱とご迷惑をおかけしました」という声明を読み上げ、あらためて陳謝しました。そのうえで、今回の混乱を招いたことに対するおわびの表明として、偽装を行っていた各社が今後数年間で10億円程度を拠出し、間伐材の利用や紙のリサイクルを進める社会貢献活動を行うことを明らかにしました。これについて、日本製紙連合会の鈴木正一郎会長は「環境の保全に役立つ活動に取り組むことで、製紙業界に対する信頼を一日も早く回復できるよう、あらゆる努力を払いたい」と述べています。
まだまだ余波がありそうです。改めてまとめます。
●キーワード
<古紙>
古紙とは、日本工業規格(JIS)[紙・板紙及びパルプ用語(JIS P 0001 番号2058)]に、「使用済み又は加工工程から回収した紙又は板紙。再パルプ化して紙又は板紙を製造するときに再利用する(対応英語 waste paper)」と定義付けられている。
また、JIS P 0001 番号1005には、古紙パルプを「使用済みの紙・板紙又は紙・板紙の断裁くずなどを離解処理又は離解・脱インキ処理して得たパルプ(対応英語は、recycled fiber)」と説明されている。
もう少し古紙について説明すると、古紙とは、「製紙メーカーから製品(商品)として出荷された後に、家庭や企業などの消費者・需要者の手に渡り、使用済みになった紙や、紙製品などを作るときに発生する裁断屑などが、ゴミとは別に再生利用する目的で分別、回収された紙」のことをいう。
すなわち、製紙メーカーから出荷された後、回収されて製紙原料などになるものが古紙であって、ただ古い紙が古紙ではない。リサイクル(再生)資源となるものが古紙というわけで、古紙とは文字通り家庭や企業などで1度使われた紙のことである。同時に、私たちが造り出すことのできる“第二の森林資源"でもある。
なお、損紙とは、「製紙工程で生じるくず紙」(JIS P 0001 番号4010)と定義付けられている(対応英語 broke)。参考として、損紙には、抄紙機の湿部で出るぬれた損紙と、乾燥部以後及び仕上げ工程から出る乾燥損紙とがある。これは、普通離解して再使用する、と説明されている。このように古紙と損紙とは明らかに違い分けされている。
以上、本コラム(18) 紙の用語解説[5]古紙とは、再生紙とは参照。
<再生紙>
「再生紙」とは、紙(板紙も含む)として市場などで一度使用された後、回収された古紙を配合した、いわゆる古紙入りの紙のこと(注…製紙工程で発生する損紙を古紙とは言わない)。100%新しいパルプ、いわゆるバージンパルプ(製紙工程で発生する損紙含む)からできた製品と区別して「再生紙」と呼んでいる。わが国ではその配合率については特に決められておらず、規制(定義)がない。従って、古紙が少しでも配合されていれば再生紙といえる。言い換えると、古紙配合が1%でも100%でも「再生紙」という日本的な曖昧さがある。
以上、本コラム(18) 紙の用語解説[5]古紙とは、再生紙とは参照。
<グリーン購入>
消費者や企業、行政機関などが、環境に配慮した商品を優先して購入する仕組み。廃棄物の量を減らしたり、環境破壊を防ぐのがねらい。環境配慮商品の開発を促す効果も見込める。2001年4月には官公庁など国の機関が環境配慮商品を優先購入することを義務付けた「グリーン購入法」が施行された。対象物品は文具やOA器機、自動車など。同様の取り組みは消費者団体や地方公共団体などでも広まっている(BizPlus:経済新語辞典から)。
グリーン購入法…環境に配慮した製品の購入を国や独立行政法人に義務付け、普及を図る法律。2001年に施行された。紙、文具、家電など品目ごとに品質基準を設けているが、基準を満たしているかどうかはメーカーの自己申告に頼っている。メーカーが基準を守っていなかった場合でも罰則はない。法律を所管する環境省は再生紙の偽装問題を機に、制度を厳しくする方向で見直しを始めた(Web東奥から)。
(2008年2月1日記載)