紙について(5-2) 紙のできるまで《紙化工程》(1)原料調成工程

2.紙化工程

次に「紙化工程」ですが、紙化工程は、「原料(紙料)調成工程」と「抄紙工程」とから構成されております。

 

(1)原料調成工程

「原料調成工程」は、抄紙に用いられるパルプ原料や薬品を最終的に調整・配合して、抄紙機(ペーパーマシン)に送り出す直前の工程です。機能的には、①パルプの受入れ、②パルプの叩解、③パルプの配合、④填料・サイズ剤・染料等の薬品添加、⑤損紙の処理、⑥白水回収、⑦除塵・脱気とともに、原料濃度やpHの調節などを行い、紙の基本品質が決定される重要な工程です。その主な機能について説明します。

 

■叩 解

叩解(こうかい)とは、文字通り叩き解すということで、水の存在下でパルプ繊維を機械的に叩き、磨砕することです。繊維をよく離解し、切断・水和・膨潤・絡み合いを行ない、かつ適当な長さに揃えるための機械的処理設備を叩解機といい、昔はビーターと呼ばれる機械で行いましたが、現在では、普通、リファイナーと呼ばれており、コニカルリファイナー、ディスクリファイナーなどが代表的なものです。叩解の状態はリファイナーの種類、構造、の形状、処理条件(温度、圧力、回転数)などにより決まり、抄紙機上での紙層形成や紙の品質に重要な影響を与えます。

パルプ工程で得られたままのパルプ(未叩解パルプ)から作った紙は、フワフワした感じで毛羽立ちが多く、強度が非常に弱いものとなります。このような欠点をなくすために、機械処理を行い叩解します。パルプ繊維をリファイナーによって機械的に磨砕して擦り潰すと膨潤し、フィブリル化(繊維を枝状に分岐すること)して比表面積が増し、抄紙機上で絡み合って水素結合を起しやすい原料となります。また、繊維は切断を受け、繊維長が短くなり適当な長さに揃い、合の良い強い紙を得ることができます。

叩解による紙の特性の変化は、叩解が進むにつれて紙の緊度が増し、引き締まった紙質となり、破裂強さ、耐折強さが増加します。一方、引裂き強さや不透明度は一般的に低下します。

ところで、叩解機の種類と叩解条件の選択によって繊維の切断がより多く起こる場合と、枝状化や膨潤が主として起こる場合があります。前者を遊離状叩解、後者を粘状叩解と呼び、一般に、遊離状叩解は紙の強度が劣るために粘状叩解が好まれますが、紙の合や不透明度に対する要求から、あえて遊離状叩解が行われることがあります。逆に粘状叩解は紙質を緻密にし強度が向上しますが、不透明度は低下する傾向になります。

なお、叩解の程度は叩解度あるいは濾水度(フリーネス)で表します。一般には、フリーネス(単位ml、以前はcc)[カナディアン・フリーネス・スタンダード(C.F.S)]で表示され、叩解が進むにつれてパルプの水切れが悪くなり、濾水度(フリーネスml)は低くなります。未叩解パルプのフリーネスは、700ml前後。

 

■パルプ配合

単独、あるいは異なるパルプ(化学パルプ・機械パルプ・古紙パルプ・非木材パルプなど)を数種類、紙に要求される品質を得るために配合します。例えば、上質紙などの印刷用紙には、合が良く、良い印刷適性を与える広葉樹パルプ(LBKP)を主体に配合し、強度が要求される包装用紙の場合には、強度特性の良い針葉樹パルプ(NBKP)を100%ないしは主体に配合します。

 

■薬品添加

さらに、紙に要求される様々な性質を付与し目的の品質を得るために、原料パルプに各種の薬品を添加・配合します。

例えば、填料は、不透明度、白色度、平滑度、インキ吸収性などを向上させる目的で添加され、クレー(白土)、タルク(滑石)などが多く用いられていますが、近年は中性紙の増大で炭酸カルシウムの使用が増えてきています。筆記・印刷用紙には普通 5~15重量%の填料が配合されており、中には20%以上のものもありますが、填料の増量は特に紙の不透明度は向上しますが、表面強度、紙力は低下傾向となります。

なお、二酸化チタンは高価ですが、高不透明度を与えるために薄紙などで高い不透明度が要求される紙(特殊紙など)に使われることがあります。

また、紙はもともと多孔質で吸水性に富んでいますので、印刷・筆記用紙のインキの滲みを防いだり、耐水性を付与する必要があります。この処理をサイジング、このために添加する薬品をサイズ剤といい、以前から主としてロジン(松脂)およびその定着剤として硫酸バンド(強酸性化学物質。硫酸アルミニウム、アラムともいう)が用いられていましたが、中性紙の普及で中性サイズ剤が使用されています(FAQ10.中性紙とは 参照)。

その他の薬品

その他の薬品として、歩留まり向上剤、紙力向上剤、スライムコントロール剤(微生物などの殺菌用)、消泡剤、染料などがそれぞれの目的に応じて添加されております。

 

  次のページへ


更新日時:(吉田印刷所)

公開日時:(吉田印刷所)